中国のためにスパイ活動をしていたとして、ロンドン警視庁がイギリス議会の調査員ら2人を逮捕していたことがわかりました。これについて、イギリスのスナク首相は、中国の李強首相に「強い懸念を表明した」ことを明らかにしました。

これは、サンデー・タイムズ紙が報じたもので、ロンドン警視庁はJNNの取材に対しても、今年3月、20代と30代の男を国家機密の取得や漏えいなどを禁止する「公務秘密法」に違反した疑いで逮捕したことを認めました。

逮捕された20代の男は、議会で中国などの国際政策担当の調査員として数年にわたり勤務していたイギリス人で、トゥゲンハート安全保障担当閣外相や、カーンズ下院外交委員長ら、機密情報を扱う保守党幹部とつながりがあったということです。

男は中国に住んでいたことがあり、その際、工作員として勧誘された可能性があるとしています。

この問題について、インドで行われたG20=主要20か国首脳会議に出席したイギリスのスナク首相は10日、中国の李強首相と会談した際に言及。その時の様子を次のようにメディアに明かしました。

イギリス スナク首相
「中国の李強首相との会談で、私が特に申し上げたのは、私たちの意見が異なる事柄について、私が様々な懸念を表明するということです。特に、イギリスの議会制民主主義への干渉に対する非常に強い懸念であり、これは明らかに容認できません」

イギリス議会下院の情報安全保障委員会は今年7月、「中国はイギリスを積極的かつ盛んに標的にしているが、イギリス政府の対応は不十分だ」と警告する報告書を提出したばかりでした。