軍国主義的な動きを加速するプーチン政権は、真実を隠す動きも

さらに、プーチン政権は、自らに不都合な事実を隠蔽する『言論統制』の動きをエスカレート。

ロシア政府は新たに9月1日、ノーベル平和賞を受賞した独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長ムラトフ氏を、スパイを意味する「外国の代理人」に指定。その活動を制限しました。

19世紀の「絵」から読み解けるものは

軍国主義的な動きを強めるロシア。その根底にあるものは何なのでしょうか?

その象徴として著名な歴史学者が見せたものは“1枚の絵”でした。

19世紀ロシアで描かれた“三姉妹”とされる絵。剣を持つ中央の女性がロシア、左右の2人が妹のウクライナとベラルーシ。プーチン氏はこの絵も引用しながら「3つの国は1つ」と主張しているといいます。

ウクライナ史研究の第一人者は、この絵をもとに、プーチン氏の歴史観をこう説明します。

米ハーバード大学・セルヒー・プロヒ教授「ウクライナは個別に存在する国ではなく、大きなロシア帝国の一つという捉え方。侵略戦争を正当化する手段として、歴史は何度も悪用されてきたが、その最も顕著な人物が、プーチン大統領だ」

“終戦”をめぐっても歴史を利用

過去の歴史を利用するプーチン政権は、いま対日批判の手段としても歴史を持ち出しています。

9月3日、ロシア各地で行われた、「第2次大戦終結の日」の式典。

日本では8月15日を終戦の日としていますが、ロシアでは、日本が降伏文書に調印した翌日9月3日を、これまで「第2次大戦終結の日」としてきました。 

ところが今年は名称を変更。「軍国主義日本に対する勝利」という言葉が加わったのです。

サハリンでの式典に参加した、メドベージェフ氏は日本を一方的に非難しました。

メドベージェフ前大統領「日本は歴史の教訓を学び、第2次大戦の結果を完全に認めるとともに、第3次大戦を防ぐよう努めるべきだ」

そこにはウクライナ侵攻で制裁を科す、日本への敵意が見え隠れします。

自らの都合に合わせ、過去の歴史を利用するロシア。プーチン大統領の偏った歴史観がもたらした戦争は、いまだ終わりが見えません。
 
(「サンデーモーニング」2023年9月10日放送より)