ウクライナへの侵攻を止めないロシアで強まっているもの。それは子どもたちへの「軍国教育」です。そこから歴史を都合よく利用しようとするプーチン政権の姿勢が見えてきます。
侵攻を“正当化”するための愛国教育
9月1日、新学期が始まったロシアで行われた、子どもたちへの特別授業。講師を務めたのは…プーチン大統領です。

プーチン大統領「なぜ大祖国戦争(第2次大戦の独ソ戦)に勝てたのか分かった。我々ロシア人に勝つのは不可能だからだ。ロシアは絶対無敵だ」
ロシアの過去の栄光を称え、愛国心を鼓舞するプーチン氏。
生徒「私たちに最も伝えたい思想はどんなことですか?」
プーチン大統領「ロシアを愛することです」
生徒「素晴らしいアドバイス、ありがとうございます」
ロシアが一方的に併合した地域の子どもからはこんな質問も…
ザポリージャ州出身生徒「この地域はどのように発展していきますか?」

プーチン大統領「人々が大国の一部だと感じられるようにしていきます」

子どもたちに政権のプロパガンダを刷り込むロシア。新学期から使用する歴史教科書でも、「ロシアは英雄の国だ」など、今回の侵攻を正当化する記述が目立ちます。
義務化される“軍国教育”。その影響は
さらにこの秋から全国の高校で義務化されたのが、軍事訓練の授業でした。それに先駆けて行われた訓練では…

その中には毒ガスや生物兵器を想定したものまで…

教官「君たちはいつでも戦地にいる同志に代わる用意ができていなければならない」
生徒「訓練を通して祖国への愛がもっと深いものになりました」
ではなぜ今、ロシアは愛国教育を加速させているのでしょうか。
現在、反転攻勢を続けるウクライナは、南部でロシアの防衛線の一部を突破。

一方のロシアは兵員不足を補うため、2022年9月、予備役の動員に踏み切ったものの、数十万人が国外に脱出するなど混乱が広がりました。
こうした状況の中、愛国教育を受けた若者や子どもたちも将来、戦地に送り込まれる日が来るかもしれません。
ロシアから逃れた元教師は、愛国教育が将来に及ぼす危険性について…

ロシアの元歴史教師「戦争が終わったら軍事化の要素は学校教育から一瞬で消えるが一回覚えてしまうと、子どもの頭の中から簡単には消えない」