去年4月、北海道知床沖で観光船が沈没し、乗客乗員20人が死亡、6人が行方不明になっている事故の原因について、国の運輸安全委員会は、船体のハッチと運航に関わる安全管理体制に問題があったとする最終報告書を7日、公表しました。これに対し運航会社の社長は「想像でストーリーを作り上げている」と反論しました。
報告書によりますと、沈没した直接的な原因は、当日、悪天候が見込まれたにもかわらず、船のハッチのふたが確実に閉まっていない状態で船を出航させ、出航後も運航中止や避難措置もとらずに航行を継続したことにあるとしました。

今回の報告書では、新たに事故の8日前に撮影された写真などが公開されました。
ハッチの写真では、ふたの鍵穴が揃っておらず、ふたは約2センチ浮いた状態になっているのがわかります。

また、ハッチをめぐっては、国の代行機関であるJCI=日本小型船舶検査機構が事故の3日前に船舶検査を実施した際、外見上、問題がなかったことから、開閉試験を省略していました。

これについて最終報告書は、JCIの検査は「ハッチの不備を検査で見落とした」とは言えず「不具合を改善させることができなかった」という評価にとどめています。

その上で、船体や通信設備の整備が不十分でありながら、船長が出航に踏み切った背景には、桂田精一社長の運航会社「知床遊覧船」の安全管理体制が整備されていなかったことが背景にあったとして、その影響は重大だったと指摘しました。

これに対し、桂田社長は7日午後、車中で取材に応じ、下記のように反論しました。