沖縄のお笑いの革命児と言われ、26歳という若さで亡くなったファニーズの山城達樹さんのドキュメンタリー映画が完成し、先月試写会が開かれました。9月8日からの劇場公開を前に、笑いと涙の詰まった映画の魅力をお伝えします。

FECオフィス 山城智二社長
「たくさんの皆さんに見守られてですね、この映画が作れたことを本当に感謝申し上げます」
2023年8月24日。那覇市の映画館で映画『ファニーズ』の試写会が行われ、監督をつとめたFECの山城智二社長は、来場者にお礼を伝えました。
この映画は、智二さんの兄・山城達樹さんの人生を描いたドキュメンタリーです。
芸人仲間のまーちゃんは、舞台挨拶の場で、智二さんをからかいながら作品のことを、こう表現していました。
FECオフィス まーちゃん
「これヒットするために作ってるんじゃなくて、僕の勝手な感想ですよ。壮大な家族ビデオだと思っているんですよ。本当の価値はあと、10年後20年後に出ると思っています。だから10年、20年かけて、何回も見てください」
観客
「1990年代の沖縄のお笑いシーンの貴重な映像もたくさん見れたし、そこからまた山城達樹さんという人がどういうことをしてきたかっていうのは、すごいもう、映画の中からジンワリ伝わってくる。温かい映画でしたね、何回も見たいです」

FECの旗揚げの中心となった山城達樹さんは、1990年代に渡久地政作さんとのコンビ「ファニーズ」で活躍し、沖縄のお笑い界を盛り上げようと精力的に活動していました。ところが過労のため、志半ばの26歳で急逝。FECを立ち上げて3年目のことでした。

映画は、FECが今年で30周年になるのにあわせ、達樹さんの生涯を記録に残し伝えようと企画されたもので、撮影は2022年8月の達樹さんの命日からスタート。
(*映画「ファニーズ」より)
山城智二さん
「達樹になんか言うとしたらなんて言う?」
元ファニーズ 相方・渡久地政作さん
「やー、無責任どー。お前が誘ったんじゃないばーって。ふらふらっと寅さんみたいに帰ってきてくれたらいいけどね」
映画では智二さんが、関係者を訪ね歩いて、証言などをもとに山城達樹という芸人の生きざまを手繰り寄せていきます。

FMおきなわ 東風平朝成さん
「(達樹さんから)朝成さん、実は僕、事務所立ち上げようと思うんですよって言いだして。何か注意したほうがいいことありますかねって、僕に聞いて。そんな前例ないんだよ。僕も知らないの、芸能事務所が沖縄にはなかったから」
山城智二さん
「その時に、この事務所立ち上げてすぐに来たのが、まーちゃんなんだよね」
まーちゃん
「(達樹さんに)芸人やるんだろって言われて、思わずハイって言ったのが、きっかけですよ」

プロの芸人として活動を開始し、記者会見では『演劇ではなく、漫才・コントなど演芸にこだわっていきたい。沖縄の10代20代のエネルギーをかき集め、様々な笑いを追求してきます』と語った達樹さん。翌年には定期公演としてお笑いライブをスタートさせました。
映画では、達樹さんが沖縄にまいた種が、さまざまな形で芽吹き、お笑いの文化を広げていく様子も軽快に描かれています。
また、2023年8月24日、達樹さんの命日に開かれた映画の試写会には、達樹さんの家族の姿も。妻の優子さんは、達樹さんがよく話していた言葉の意味が、ようやく理解できたと教えてくれました。

達樹さんの妻 優子さん
「冒険っていうんですか。一緒に冒険してみようって感じの一声があって…。冒険ってなんだろうなと疑問に思ったんでね、今日映画を見て、夫がやりたかったことは、こうだったんだなっていうのがわかった」
FEC 山城智二社長
「山城達樹という男がかつていたと、そこから沖縄のお笑いが大きく広がったっていうのを、沖縄県民の皆さんにまずは知っていただきたいなというふうに思いますね」
映画「ファニーズ」は、9月8日から県内のスターシアターズ系で公開され、今月10日までの3日間、監督の山城智二さんや、FECのメンバーによる舞台挨拶も予定されています。