世界自然遺産やんばるの森、東村では保全活動と観光を掛け合わせた新たなナイトツアーが注目を集めています。行き先は秘密のミステリーツアーに参加してきました。
世界自然遺産のやんばるの森 実は多くの課題が…
今野リポーター
「花と水とパインの村「東村」にやってきました。辺り一面自然が広がっているんですが、世界自然遺産に登録されたここ・やんばるの森を守りながら楽しめるナイトツアーがあります。さっそく行ってみましょう」

案内人の妹尾望さん。やんばるの森を知り尽くしたネイチャーガイドです。
案内人 妹尾望さん
「やんばるの生き物や自然、暮らし・方言など色々とツアーを通してお話できたらいいなと思っているのでよろしくお願いします」
おととしユネスコ世界自然遺産に登録された『やんばるの森』。

東村・国頭村・大宜味村の北部3村をまたぐ森で、ここに生息する在来カエルは国内で確認されている全種類の中で25%、鳥類はなんと半数ほどが生息しています。
世界的に見ても珍しい豊かな森ですが、様々な課題が―
案内人 妹尾望さん
「密猟やごみの不法投棄、外来生物・外来植物がやんばるの森に入ってくることや、犬や猫などのペットが野生化してしまって、いろいろな影響を森に与えていることもあります」
こうした現状を受け2011年から保全活動に励む地域住民らによる団体『やんばるリンクス』の林道パトロールをモデルに、去年誕生したのが「AKISAMIYO」(アキサミヨ)。

保全活動と観光を掛け合わせたツアーを提供しています。
ツアーのコースは主に3つ。
希少動物が最も多くみられる「国頭村コース」、人と自然の関わりを感じることができる「大宜味村コース」、そして今回私が体験した「東村コース」です。
ただ歩くだけではありません。GPS端末を使ってゆく先々を記録していきます。その理由は?
案内人 妹尾望さん
「まず基礎的なデータを収集して、今やんばるの森がどういう状態かを調べていくモニタリング調査になっています」
ツアーで収集したデータは、環境省などに提出され保全活動の指標として活用されているんです!

準備が完了したらいよいよ出発。希少動物を守るため、具体的な行き先は秘密!ミステリーツアーです。
何やら道中でゴミを発見しました。
案内人 妹尾望さん
「ビールの缶と、これは肥料の袋ですね」
場所や時間、落ちていたものをしっかりと記録し、回収まで行います。
開始からおよそ30分。辺りが暗くなってきたところで、歩いてやんばるの森の中へ!
生き物たちの鳴き声が聞こえてくる中、早速見つけたのは…
今野リポーター
「すごい!2匹います。あ!ここにも何かがいます」

オキナワイシカワガエル。県の天然記念物で日本一美しいカエルと言われます。
ほかにも「ヤンバルマイマイ」や「アオミオカタニシ」を発見!県民馴染みの“あの葉っぱ”は自然界ではあまり良くないのだとか?
妹尾「この場所に月桃があることはあまりよろしくないんですよ」
今野「なんでですか?」
妹尾「基本的に森の外にある分には問題ないんですが、これがやんばるの森・世界自然遺産の中に入ってきた途端に外来植物として影響が出てきます」
この日ヤンバルクイナには会えませんでしたが、運が良ければこうして木の上で寝ている姿が見られるかも!
そして最後は…

妹尾望さん
「やんばるエリアは街明かりがほとんどないので、星がとてもきれいなんです」
空を見上げると、満天の星が!
今野「星は毎日見られる?」
妹尾「わりとその時のラッキー度による、今日は結構ラッキー」

沖縄が誇るやんばるの森を未来に繋ぐため、1人1人ができることを伝え続けます。
妹尾望さん
「人間がしっかりと責任を持って関わっていくことで、この素晴らしい自然が今後もどんどん続いていく。このツアーをきっかけに、やんばるのファンになっていただいて、世界レベルでつないでいければ嬉しいと思います」
東村のやんばるの森を訪ねると、四季の移り変わりを告げる希少な動物たちとそれを守り続ける人の姿がありました。