マラソンで記録を狙うということを第一にやってきたところを、他の種目を加えることで、『本当に自分がやりたいとしていることに向き合えてるのか』というところの自分の気持ちの整理がなかなかつかなかった」

トライアスロンの練習を始めて5か月…
バイクや水泳の練習によって新たにつく筋肉がマラソンにどのような影響を与えるか心配するときもありました。

それでも永田選手は「トライアスロンのトップ選手を見るとランもめちゃめちゃ速くて、そういう方々を見ると自分みたいな初心者が『トライアスロンを始めたら足が遅くなりました』とか、そんなことを言える立場じゃないんだろうな…」と実感したそうです。そして、出した答えは…

「『マラソンとトライアスロン、どっちも頑張る』というのが、自分の中に生まれた答えです」

なぜそこまで挑戦するのか。そこには東京パラリンピックに出場したことで芽生えた“ある使命感”がありました。

永田務選手は26歳のとき、当時務めていた工場のベルトコンベアーに右腕を巻き込まれて障害を負いました。

「自分は先天性の障害でもなく、20代に自分の不注意で怪我をして障害を負った。『自分が悪いのに、誇らしく大会に出られたものか…』というのを、ずっと思っていたので…」