佐賀県で発生した家畜伝染病の「豚熱」についてです。

全国で2番目に多いおよそ80万頭の豚が飼育されている宮崎県内。養豚農家は危機感を募らせています。

佐賀県唐津市で、先月末、家畜伝染病「豚熱」の感染が2例確認され、およそ1万頭の豚の殺処分が行われています。

国内では、2018年に岐阜県や愛知県などで豚熱が相次いで発生しましたが、九州では確認されていませんでした。

(みやざき養豚生産者協議会 長友浩人会長)
「佐賀というところで出たことは驚き」

こう話すのは、みやざき養豚生産者協議会の会長で、えびの市で養豚業を営む長友浩人会長。

長友会長は、防疫対策や農家の不安を解消するためにも、一刻も早い感染経路の特定が大切と話します。

(みやざき養豚生産者協議会 長友浩人会長)
「どうやって農場に入ったかというのが、まだはっきりしていないので、実際、今回、農場で発生している豚熱の株が本土(本州の事例)と一緒なのか、それとも新しい株なのかはっきりしていないので、それ次第で今後の対応がかなり変わってくる」

こうした中、農林水産省は、宮崎を含む九州7県について、豚熱予防ワクチン接種の推奨地域に指定する方針を固めていて、準備が整い次第、接種が始まります。

県内では、養豚業者らがワクチンを接種できるようになる研修会が始まっていますが、人手が増えた場合でも接種完了には最低50日かかると試算されています。

長友会長はワクチン接種による安心感はあると話す一方で、こうした新たな防疫対策の負担に伴う、担い手確保への影響を懸念しています。

(みやざき養豚生産者協議会 長友浩人会長)
「今後、養豚をやれるかどうかと悩んでいる方が多い中で、さらに豚熱という新しい悩み事がでてくるということは、生産者として、担い手がいなくなるのではないかという心配もしている」

(スタジオ)
県内では、2010年に、家畜伝染病の「口蹄疫」が猛威をふるいおよそ30万頭の牛や豚が殺処分されました。
このような惨劇を繰り返さないためにも、長靴の履き替えや防護柵の点検など、基本的なことを順守することが改めて重要となっています