佐賀県鳥栖市の実家で今年3月、両親を殺害したとされる19歳の長男の裁判員裁判で、長男が「父から受けた仕打ちに対する報復のためです」と動機を法廷で供述しました。


◆実家で両親を殺害したとして起訴された


起訴状によりますと元大学生の長男は今年3月、鳥栖市の実家で両親をナイフで刺して殺害したとされています。これまでの裁判で長男は父親の殺害を認める一方母親への殺意は否定。弁護側も事件の背景には幼少期から父親の虐待を受けていたことなどを主張し少年院送致などの保護処分を求めています。



◆「暴力で心が壊れそうに」「父親に報復するため」


4日は佐賀地裁で弁護側の被告人質問が行われ、父親を殺害した理由について長男は「父から受けた仕打ちに対する報復のためです」と述べました。小学校低学年の頃から成績のことなどで説教や暴力を受けていたと説明し「心が壊れそうになりました」などと当時の心境を語りました。


◆母親に対しては「死ぬとは思いませんでした」


一方、母親への殺意については「妨害の力が弱まるくらいの考えで死ぬとは思いませんでした」と改めて否定しました。最後の弁護人からの質問で事件を起こした後の気持ちを聞かれた長男は「どうしようもなかった気持ちもありますが、実行したことで満足感や達成感を得られるわけでもなく、後悔する気持ちも強いです」と述べました。この裁判は今月7日に結審し、15日に判決が言い渡される予定です。

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