「正直言ってね、書いてくれんの、何社しかいないよ!」怒りの“告白ビデオ”

1967年から78年にかけて一世を風靡したジャニーズタレント「フォーリーブス」。

解散から10年後の1988年、メンバーのひとり、北公次氏がジャニー氏から受けた性被害を赤裸々に綴った告白本を出版。著書は35万部も売れたが、当時、新聞やテレビではほとんど取り上げられることはなかった。

翌年、40歳になる北公次氏はこのビデオでも被害を訴えていた。

元フォーリーブス 北公次氏(ビデオ証言より)「正直言って我慢しなくちゃいけないという雰囲気に作られちゃって、この人の言うことを聞かないと、デビューできないな。実際にデビューさせてやるってことを聞いてましたから、この人のいうことを、ジャニーのいうことを聞かないとデビューできないと思ってましたから」

このあと話はジャニー氏とメリー氏の問題に及ぶ。

北公次氏(ビデオ証言より)「一番ジャニーに考えてもらいたいことは、メリーにも考えてもらいたいことは、20年間まだ同じことを繰り返してるってこと。僕はそれを言いたい」

さらに語気を強めてこう言った。

北公次氏(ビデオ証言より)「騙すのはよくねえっつんだよ!子供だけじゃなくて親までも騙してさ。俺が告白しなかったらどうなる?やめろよ、もう。繰り返しはやめろよ!」

当時、問題を取り上げなかったメディアに対しても。

北公次氏(ビデオ証言より)「正直言ってね、書いてくれんの、何社しかいないよ!新聞は書いてくれんわな。女性週刊誌が書いてくれん。テレビ、レポーターは何もやってくんない」

告白本の編集と、このビデオの監督を務めたノンフィクション作家の本橋信宏さん。会った当初、北氏は性被害を否定していたという。

ノンフィクション作家 本橋信宏氏「公ちゃんがジャニーさんと付き合っていた噂があるが、どうなんですかと聞いたら、即座にそれは違うと。そんなの知らないという感じでスルーされた」

だが、取材を重ねるうちに真実を洗いざらい話したという。

当時、北氏にはマスコミや世間から「売名だ」「金儲けだ」などといった厳しい声が上がった。それでも…

本橋信宏氏「目の前で犯罪行為が行われていたら、見て見ぬふりは普通はやれない。メリーさん、ジャニーさん、いい加減やめておけよと。マスコミにも本を出して訴えた。警察にもジュニアが行ったけど、どこも相手にされないから四方八方の閉塞感はすごい」

そんな北氏は、こんなメッセージを残していた。

北公次氏(ビデオ証言より)「これから新しく生まれる、未来ある若手の若い子がまた同じ目にあって、それも親も知らずに、ジャニーズ事務所だから安全だとか、そういうことは絶対ありませんから。それだけ言っておきます」

ビデオでは、複数の元ジュニアたちもジャニー氏による性被害を証言している。その中のひとりは北氏から直接こう言われたという。

ビデオで証言した 元ジャニーズJr.「人生がボロボロになっちゃうから、俺みたくならないように今辞めろと。熱心にもう(レッスンに)行くなと。僕のことを思って言ってくれていると感じた。北さんがいたから僕は辞めてやってこれたと思います」