
■「ガリガリという音が…」テープに残る生々しい証言
村田孝さん(84)
「父・與四郎は温厚な人で、一生懸命仕事をやってくれていました」
口数の少ない與四郎が、酒を飲むと話し出すのが、事件のことでした。50年ほど前の與四郎の肉声があります。
村田孝さん(84)
「宝物として保存しているわけなんですけど、後にも先にもこれだけなんですよ録音してるのは」
そこにはクマに襲われたときの生々しい証言が残されていました。

夏祭りの帰り道・クマに襲われたときの記憶です。
◆クマに襲われた村田與四郎さんの声(約50年前に録音)◆
「(クマが)弟を殺してしまって、すぐ今度は母の後ろから(襲った)というわけ。マッチを出してマッチをすった。そしたらクマの顔が見えた。その瞬間にガッと私に襲いかかってきた」
近くの民家に逃げ込んだ一団。しかし、クマは家の中まで追ってきたといいます。
與四郎の父はクマと闘い、重傷を負いました。傷を負った母は、子どもたちを探そうとしたのか、家に近づきます。そこでクマと出くわしました。

◆クマに襲われた村田與四郎さんの声(約50年前に録音)◆
「母を連れて山に行った。『怖い』とか『痛い』とか(聞こえた)、今度は(母を)食いだした。ガリガリという音が聞こえた。声が聞こえなくなった。(私は)出ない声をしぼって、口から吸った息が(裂けた)横の腹から出るから、ぐうぐうてね、苦しい一方さ」