戦争と平和を考えるニュースが続く8月。だが、若い世代に本当に伝わっているのだろうか。報道すること自体が「目的」になっていないかと、RKB毎日放送の神戸金史(かんべ・かねぶみ)解説委員長は自問する。若い記者の記事を例に、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、“みんなが知っている常識”からいったん離れて報じることが大切だ、と語った。
◆「新しいことを追う」のがニュースの宿命だが…
8月は、私のコーナーでも戦争のことを採り上げてきました。“8月ジャーナリズム”と半分馬鹿にされていると思いつつも、戦争や平和は大事なことだから8月はせめてやろう、と。もちろん8月以外もやった方がいいし、本来やるべきだと思うんですけど。
今日(8月29日)の朝刊を見ると、戦争のことはあまり載っていない感じです。もう次の話、「関東大震災100年」とか、「処理水・汚染水」とかが多いです。新しい話に向かうのはニュースの宿命。だけど、そうは言っても大事なことはあるでしょう。「一歩踏みとどまって考えよう」というのが“8月ジャーナリズム”なのかなと思うんです。
◆特攻に散った京都帝大生の「恋」
昨日(8月28日)、RKBテレビのニュースでは、特攻隊で亡くなった、福岡県遠賀町出身の京大生を採り上げました。インターネットのニュースにも出ています。
「心残りは敏子のこと」特攻とともに打ち砕かれた京大生の恋、人生のすべてをかけ海面15メートルを這うように飛行
旗生良景(はたぶ・よしかげ)少尉は、現在の福岡高校から京都帝大に行って、特攻で出陣し22歳で亡くなりました。青年の面影の写真も残っています。
旗生さんには「思い人」がいました。高校時代の友人の妹だった、敏子さん。日記には、「心に残るは敏子のことのみ。弱い心をお笑いください。然(しか)し死を前にして敏子に対する気持ちの深さを今更の様に驚いています」と書かれていました。
新しい話じゃないかもしれない。むしろとても古い話だけど、人間は時代が変わっても変わらない。人の気持ちや思い、生に対する熱い心とか。語り継いでいくことは必要なのですが、それがとても難しい。「9月に入ったら戦争の話はもうしないのですか」と言われても困るので、時に私も触れていきたいと思っています。














