半導体を巡るアメリカと中国の対立が一層激しさを増す中、アメリカのレモンド商務長官が8月27日から中国を訪問した。

米国は広範囲で中国への投資規制。日本も製造装置の輸出手続き厳格化

8月9日、アメリカのバイデン大統領は半導体、AI(人工知能)、量子コンピュータの三つの先端技術を対象に中国への投資を規制すると発表した。2022年10月、アメリカは中国に対する先端技術の輸出規制を発表しているが、アメリカが広い範囲で中国企業への投資を規制するのは初めてのことで、中国への圧力が一段と強化された形だ。アメリカからの要請を受け、日本も7月23日から先端半導体の製造装置23品目について、中国への輸出手続きの厳格化を始めた。

こうした一連の動きに対し、中国政府は8月1日、レアメタルのガリウムやゲルマニウムの関連製品の輸出管理を強化した。中国が世界生産のそれぞれ98%と66%を占めるガリウムとゲルマニウムは、半導体の材料やLED、太陽電池などの製造に欠かせない材料だ。中国政府による輸出管理の強化について、日本政府は即座に影響が出るものではないとしているが、レアメタルの専門商社は「取引先からは規制前に駆け込み需要があった。販売先や用途を申告しなければならなくなり、中国側の情報集めの一環だと感じた」と話す。

JOGMEC 金属企画部 原田武担当審議役:
量自体は少ないけれども使われる頻度は高いため、なくては困る「産業のビタミン」とも言われるような原材料です。供給源の多様化が供給リスクに対する対処方針だと思う。

8月18日、アメリカで行われた日米韓首脳会談でバイデン大統領は、ハイテク覇権を狙う中国を名指しで批判し、中国に3か国が対峙する構図がより鮮明になった。

半導体を巡る米中の最近の動きをまとめた。バイデン政権に入って2022年10月に先端半導体や装置、人材も中国に出すことを規制したというところから対立が深刻化している。

――以前から対立はある。

明星大学経営学部 細川昌彦教授:
トランプ政権のときから中国は自分たちのアキレス腱が半導体なので、早く自給率を高めなければいけないというので、2025年には70%の自給率と言って必死になってやろうとした。それに対してアメリカがファーウェイを叩いたり、あるいはいろいろな中国の半導体メーカーを原則禁輸にするというのは、個別企業をターゲットにしてやっていたわけです。

――先端半導体という分野全体でやろうということでスタートした。

明星大学 細川昌彦教授:
個別の企業ではなく先端半導体、まさに軍事の能力に直結するところに焦点を絞って、製造装置も含めて規制しようというのが10月です。

――アメリカも先端半導体の輸出を止めるだけではなく、半導体製造装置に一日の長がある日本とオランダに協力を要請し、日本は7月から輸出管理の強化に踏み切った。

明星大学 細川昌彦教授:
先端半導体だけを規制しても、向こうが作れたら駄目なのです。製造装置はアメリカだけではなく、日本とオランダのメーカーが関わっていますから、一緒になって規制しないと意味がなくなるというので、7月に日本で、オランダは9月にスタートすると思います。