8月最後の週末になった、26~27日。
札幌では、困った人もいたようです。
26日の札幌ドームには、懐かしい風景が帰ってきました。
谷内翔哉カメラマン
「福住駅から札幌ドームまで、500mほどの長蛇の列ができています」
札幌ドームへ向かう人(26日)
「待ってましたという感じですかね、喜びしかない」
「B’z最高!」
観客動員5万人、人気ロックバンドB’zのコンサートです。
ライブ終了後、最寄りの地下鉄福住駅には長い列ができました。
同じ日、およそ5キロ離れた真駒内でもアイドルグループNEWSのコンサート、そして、27日の北海道マラソンには、およそ1万8000人のランナーが集結。
X(旧Twitter)では…
「札幌のB’zのライブ、宿を取ろうと思ったのにどこも空きが無かったわ」
「マラソンもありコンサートもあり、2泊の予定が1泊しか取れませんでした」
ビッグイベントが重なった札幌。
その知られざる世界をカメラが追いました。
札幌ドームのB’zのコンサート。開催前からSNSには、心配の声があふれました。
X(旧Twitter)より
「臨時シャトルバス出ないってまじ?こ、これは東豊線とバスが地獄絵図じゃないですか」
「帰りの福住駅周辺はマジで地獄の大名行列になるので当日参加する人はマジで覚悟してください…」
大規模イベントでは、当たり前だった臨時シャトルバスの全面運休が発表されていたのです。
担当する3つのバス会社に取材すると、運休の答えは、どこも乗務員不足。
運転手が足りず、定期路線の維持で精一杯だというのです。
安斎隆史ディレクター
「午後7時半近くになりました、ドームから続々と人が出てきて福住駅方面へと向かっていきます」
終了前に出てきた人
「(ライブの)途中で上がってきました、JRの時間が(あるので)」
「混むと思ったので、隣の席の人が30分以上動けないよと教えてくれたので」
「最後まで見たかったです」
本来なら、ライブが一番盛り上がっているはずの時間帯。
しかし、後ろ髪を引かれながらも混雑を避けるため早めに出てきたというのです。
午後8時、ライブが終わると札幌ドームから福住駅までの500メートルが人で埋め尽くされました。
小樽市から参加した人
「(ドームから客を)部分的に順番に出すという感じで、みんなライブで疲労感あったので疲れた顔してました」
遅い人だとドームを出るまでに1時間以上かかったといいます。
札幌市内から参加した人
「(混んで座れなくて)立ってると辛いかも、3時間立ったあとだもんね」
札幌市交通局は、福住駅の人員整理に職員26人を増員、地下鉄も6本増やし、混雑は2時間弱で解消しました。
一方、札幌市内をランナーが駆け抜けた、27日の北海道マラソン。
前日までに大通公園のエントリーが必要で、遠方の参加者は、札幌周辺で宿泊することになります。
ランナー
「北海道マラソンにエントリーした時点で宿を取っていた。(応援に)親が見に来ていて宿を取るのが大変だったみたい」
「北海道マラソンの提携する旅行会社でホテルを取ったんですけど、普段いくらか分からないけど2万近くかかって結構高いんじゃないかなと」
ホテルの予約サイトをのぞいてみると、26日の土曜日はすべて満室となっていました。
「大型イベント」に「夏の観光」、「インバウンド」に「ビジネス」と、ホテル争奪戦が起きていたのです。
千葉県からマラソン参加(26日)
「明日の北海道マラソンに向けて今日きました。(ホテルが)かなり埋まっていてやっと見つけた感じ、千歳駅の方のビジネスホテル。ここからは遠いですね」
三重県からマラソン参加
「今まで何回か出ているけど今年は結構(ホテル代)上がりましたね。去年と同じホテルだったが倍に上がってました」
大通近くのネットカフェでは、空室待ちのほか、宿泊場所を探す人たちの問い合わせも多かったといいます。
インターネットカフェ@PLACE 高橋亮オーナー(26日)
「(26日は)朝までのパックを利用する客が多いです。(満室で)ホテルに泊まれないという人もいるし、料金が高くて泊まれないという人もいる」
ちなみに、ナイトパックの料金は1400円、なんとかブースを確保できた人は。
函館市からの観光客
「マラソンでどこも混んでいたので、ここなら空いてるかと思って。宿泊施設の値段がすごく高いんで、遊びで来て泊まれる金額じゃない」
紋別市から仕事で来た人
「寝るときは普通にこういう感じ(ソファに横になる)ですね。カプセルホテルも観光客とかでいっぱいでした」
観光に力を入れる札幌のホテル不足に専門家は。
札幌国際大学観光学部 田中洋一郎教授
「観光業界としてそこまでの経営の基盤が安定してないところがあるので、新型コロナの流行で、ぜい弱さが露呈してしまった。(ホテルの稼働を)急激に戻そうとしても、他の業界に人が流れ、なかなかまだ戻ってきてくれてない。いずれは解消されていくことなのかもしれないんですが、今年度はこんな状況になるかと思います」
札幌市内には、約370のホテルや旅館がありますが、今年の夏は行動制限が緩和されたことに加え、1か月間、道内で「高校総体」が開催されていたことも、ホテル不足に拍車をかけたようです。
札幌のホテル事情について札幌国際大学の田中教授は、こう話しています。
札幌国際大学観光学部 田中洋一郎教授
「宿泊料金の値上がりの要因は急激な需要の高まりと人手不足。現在、北海道への観光客はコロナ以前の水準まで戻ってきている。今後やってくる、中国本土の団体客受け入れには、現状では準備が足りていない状況」
では、札幌のホテル不足解消には、どんなアイディアが考えられるのか、田中教授に聞きました。
札幌国際大学観光学部 田中洋一郎教授
「観光が主力産業の沖縄では、ハイシーズンではない時期のイベント実施、秋に修学旅行生を受け入れるなど、行政が、空いている時期に観光客を誘導する『観光需要の年間の平準化』を進めている」
このアイディアは、北海道でも使えそうです。
札幌だけでなく、道内にはいろいろな観光地がありますので、札幌にやってきた観光客にリピーターになってもらうには、おもてなしをしながら、満足度を高める工夫、知恵が求められています。