東京電力・福島第一原発にたまる処理水の海洋放出が24日午後始まりました。
完了までに30年ほどかかると見込まれている処理水の放出、政府の判断に県内でも波紋が広がっています。


午後1時ごろ、東京電力福島第一原発で始まった処理水の海洋放出。

国際原子力機関=IAEAは「国際的な安全基準に合致している」としていますが、漁業関係者の反対が続くなど、波紋が広がっています。


市民団体の会見:
「いくらALPS(多核種除去設備)を通しても、基本的に基準値を下回るというだけで、放射性物質に汚染されている水であることは変わりありません」

長野県庁では24日、海洋放出に反対する市民団体が会見を開き、処理水は放射性物質を含む汚染水で、安全性を立証することはできないなどと主張。

放出をやめるよう訴える声明文を発表しました。

岡崎啓子さん:
「東電と日本政府はコスト削減と責任逃れのために安易に海洋投棄しようとしています。汚染水の海洋投棄に強く反対し、これをやめるよう訴えます」

阿部知事は23日、政府の責任ある取り組みが必要と意見を述べました。

阿部知事:
「政府として責任を持って着実に様々な取り組み、風評被害の防止も含めて取り組んでいっていただきたい」

一方、海洋放出を受け、香港政府が長野県を含む10都県からの水産物の輸入を禁止すると発表したことについては疑問を示しました。


阿部知事:
「長野県は海がない県ですので、海洋とは基本的に関係がないと思っている。規制の在り方に科学的根拠がないのではということで、除外を求めていくことも考えていく必要がある」

およそ30年間にわたって続くとされる処理水の海洋放出。

地元の関係者や不安を訴える外国などに対し、政府には丁寧な説明と対応が求められます。