■プーチン的思考、核はどうなる

ーー核兵器はどうなるんでしょうか。豊島さんはプーチン大統領の思考にポイントがあると指摘していますが、プーチン大統領の発言、どうご覧になりますか?

2014年3月18日
「ロシアは欧米との対話を目指した」
「(しかし)次々と騙された」
「ロシアはもう限界だ」


2022年2月24日
「(NATOからロシアは歴史的に)見捨てられたのだ」

2022年4月27日
「戦略的脅威への反撃は電光石火で行われる」
「手段は全て揃っている」

豊島:
プーチン大統領は元々国益のために具体的な成果を求めるリアリストと言われていましたが、どうも最近はそうじゃないというかですね、ロシアのプライドを前面に出して、感情的な思いを何としてでも遂げようとしている様子が見えて、個人的な意見としては非常に危険だなと思っています。

プーチン大統領は2014年から一貫して同じことを言っていまして、ロジックは全然変わっていないんです。欧米的な価値観に従うのはもういいと。歴史的にロシアは欧米を理解しようとしたのに、欧米の側は非常に無礼だったと。自分たちロシアを侮辱してきた。という言い方をしています。このロジックで軍事侵攻を行ってきたわけです。

ーー騙されたと?

豊島:
そうですね。それを侵攻の理由にしているわけですね。核に関して言えば、プーチン大統領の発言、「手段は全て揃っている」というのは、2014年のクリミア併合の翌年、プーチン大統領はテレビ番組で「核を使うことも念頭に置いていた」とはっきり言っているんです。

それともう一つ。かつて駐ロシア大使で「プーチンを最も知る男」と言われる、アメリカCIAのバーンズ長官が「西側がウクライナに武器を提供し抵抗が強まると、ロシアの目標が遠ざかり、プーチン大統領が核を使う誘惑に駆られる」と言っています。元々プーチン大統領の頭には核が選択肢として念頭にあるんだと思います。

■「この戦争の終わらせ方」豊島ポイント 

ーーどうすれば終わるのか。戦場を駆けずり回った豊島さんから見ての豊島ポイントは?

豊島:
まずは、今回トルコも(仲介)しましたが、戦闘停止を一番最初に目指さないと、更に沢山のウクライナ市民の命が失われてしまいます。ロシアの侵攻もありますが、これまでウクライナが停戦の枠組みというのをうまく上手に活用できなかったために、結果的に死者が増えてしまったんです。ですから、前回2014年~15年はドイツとフランスが(仲介)しましたが、それ以外の国を集めてミンスク合意に代わる新たな枠組みが作れるかどうか。

もう一つは、ドンバスの主権がどうなるかが大きな問題なんですが、例えばですけれども、ウクライナの領土と安全の両方を担保するためにも、非武装地帯というか、バッファーゾーンのような戦闘をしない場所をつくり、はっきり区分けできるような具体的な仕組みを考えないとダメかと思います。今回の戦闘、ロシアがウクライナから撤退するということも難しいでしょう。そして、前回の東部の一部で戦闘が起きただけで8年続いたのに、今回の規模では8年どころではなくなる可能性もあります。国際社会とともに、真剣に考えることが必要ではないかと思っています。

国会トークフロントライン (6月10日放送分)