女子1500mは卜部も世界ランキングで代表圏内

田中希実選手

800 m、1500m、5000mで世界陸上代表入りを狙う田中の、最初の種目が1500m。

1日目の予選1組はスタート直後に飛び出して1周目を66秒6(筆者計測。途中計時は以下同)で通過し、後続を20m近く引き離した。2周目は72秒0にペースダウンし、3周目は69秒3と少しペースアップ。ラスト1周は64秒2、ラスト200 mは30秒7と、まずまずのスピードに上げてフィニッシュした。

「後ろについてラストだけ頑張る走り方もありましたが、タイムや通過することより自分の体と向き合って走りました。後ろのことを気にしてしまって、1人で走る感覚を楽しむことを取り戻せていません。しかし、後ろの勢いを感じて焦っていた割には脚が動いてくれました。自分が一番余裕を持ってゴールできたと思います。コンディションは悪くないので、あとは気持ちだけです」

田中のタイムは4分15秒19。自分の体調や気持ちと向き合った田中が、2日目の1500m決勝でどんな走りをして、3日目の800m予選につなげていくか。レースパターンの判断に注目したい。

2組では田中の練習パートナーでもある後藤夢(22・豊田自動織機)が4分16秒78で1位通過。東京五輪代表だった卜部蘭(26・積水化学)が4分16秒93で2位通過した。

田中は参加標準記録(4分04秒20)を破っているので、決勝で3位以内に入れば世界陸上オレゴン代表に内定する。卜部もRoad to Oregon(参加標準記録突破者に1国3人までの世界ランキング上位者を加えたリスト)で41位と、出場枠45人以内につけている。標準記録突破ができなかった場合は、日本選手権は順位得点が高いので、優勝して得点を伸ばしたい。

後藤もRoad to Oregonリストで現在54位。あきらめず、できる限りの頑張りをしたい。


男子400mハードル予選は黒川以外の選手が標準記録突破に挑む

黒川和樹選手(5月1日木南記念)

大会2日目には男子400mハードルの予選が行われる(18:35)。3組には標準記録(48秒90)を突破している黒川和樹(20・法大3年)が登場する。

代表入りのためには決勝で3位以内に入ることが条件で、記録を狙う必要はない。前半は決勝と同じリズムで飛ばすと思われるが、予選通過を確信したタイミングで力を抜くのではないか。

注目したいのは同じ3組に出場する陰山彩大(日大4年)で、5月の関東インカレでは優勝した黒川を終盤で追い込み、49秒31をマークした。1日目の男女400 m予選では、自己新を出す選手も多くいた。2日目で風向きが変わったら同じにはならないが、ヤンマースタジアム長居は周回種目に有利な風が吹くことが多い。予選でも標準記録突破のチャンスがあると判断できれば、果敢に狙いに行くべきだろう。

1組目の豊田将樹(24・富士通)と出口晴翔(順大3年)、安部孝駿(30・ヤマダホールディングス)、2組目の山内大夢(22・東邦銀行)と岸本鷹幸(32・富士通)、3組目の松下祐樹(30・ミズノ)ら、U20も含め代表経験のある選手たちが多い。彼らも同様に、気象条件が良ければ予選から標準記録突破の可能性に懸けてくるはずだ。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)