「地球の宝を守れ!」そう呼びかけてクラウドファンディングで寄付を募った国立科学博物館。目標の1億円を初日で達成し6億円を超えて増え続ける寄付はどうやって集まったのか。好きな人にはたまらない返礼品とは?そもそも、日本を代表する国立の博物館が、なぜ寄付に頼らざるを得なくなったのか。深刻な実情とは?背景には、先進各国の中でも文化政策への財政的支援が少ない日本政府の問題も?手作り解説でお伝えします。
国からの交付金は年々減少

今回のクラウドファンディング、6億円が集まり支援者は約3万8千人。
資金難を訴えている国立科学博物館ですが、収入の8割を国からの交付金に頼っていて、これが長期的に減少傾向にあるため、苦しい運営が続いていました。
標本などの維持・管理で苦しい運営

東京上野にある本館の展示物ですが、動物のはく製や恐竜の化石など、その数は約2万点。これは、国立科学博物館が所有しているもの全体の1%にも及びません。

茨城県つくば市の収蔵庫には、500万点もの標本などが保管されているのです。
動植物の標本や、化石、鉱物、科学技術史の資料など多岐にわたり、これらを維持・管理するためには、人員や空調などに多くの費用がかかります。
本来、整理して保管するべきものですが、数年前から、標本の保管スペースを確保できず、廊下に置かれたり、人手不足で整理できない状態のものが増えているのです。
2023年4月には新しい収蔵庫ができる予定でしたが、建設コストの高騰などにより遅れています。