さらに“Wパンチ”で危機

こうした中、世界的なエネルギー高騰により光熱費は2020年から倍増。さらにコロナ禍で入場料収入が激減し、大きな打撃となって資金難に追い打ちをかけたのです。
その結果、事業費や研究費を削減し、標本などの維持・管理といった最低限のことも難しくなっているといいます。
クラウドファンディングに望み…

そんな中で、今回、窮余の策として利用したのがクラウドファンディング。インターネットで自分のやりたいことを発表し、賛同してくれた人から寄付金を集める仕組みです。
新しい技術の商品開発や、地域の町おこし、難病患者の支援など様々な分野で利用され、目標を達成できない事例も多数ある中、わずか9時間で目標の1億円を達成しました。
これだけ寄付が集まった理由の一つが返礼品です。例えば、50万円の寄附で、戦後初の国産旅客機「YS-11」のコックピットに入れる体験。
1万5千円で研究者の”推し標本”を集めた「かはくオリジナル図鑑」など40種類以上が用意されました。見返りが少ない高額の寄付もたくさん集まりました。
文化政策への支出が少ない日本…

国立科学博物館が、こうした寄付に頼らざるを得なくなった背景にあるのが、国からの支援の少なさです。
主要各国の文化政策への支出をみると、日本が最も少なく、国家予算に占める割合では、アメリカに次ぐ低さです。
未来につながる研究や宝をどれだけ守れるのか?国が果たすべき役割が問われています。
(「サンデーモーニング」2023年8月13日放送より)