「“出社していることが大切”という日本文化が変わる…生産性は向上し始めている」
“安いニッポン”から“高付加価値、高価格”へ…。“内部留保”より“設備投資”へ…。
こうして変わりつつある日本企業、日本経済を海外の投資家はどう見ているのだろうか。イギリスのヘッジファンドの投資責任者に聞いた。

『ブルーベイ・アセット・マネジメント』最高投資責任者 マーク・ダウディング氏
「日本経済の見通しについてはかなり建設的だ。多くの点で中国より遥かに建設的…。注目したいのは、コスト上昇によって日本の大企業が値上げに踏み切ったことだ。多くの中小企業は値上げを恐れていたが、インフレ期待が変化し始め最近になって中小企業も追随し始めた。」
日本経済の見通しは中国よりも明るいと分析するダウディング氏。日本は、労働力人口の減少の影響もあって、女性の労働参加が増え、更に働き方自体も欧米流に変わりつつあるとも指摘する。
『ブルーベイ・アセット・マネジメント』最高投資責任者 マーク・ダウディング氏
「日本には歴史的に上下関係のある職場文化や、私が“プレゼンティズム”と呼んでいる“出社していることが大切”という文化がある。大切なのは夜にどれだけ遅く退社するかで、生産性や提供するものに焦点が当てられなかった。常に午後10時にオフィスを出る人でなければならなかった。しかし、それも変わりつつある。欧米のように成果主義的なビジネスを展開し、より柔軟な働き方ができるようになったことは生産性の向上に大いに役立っている。」
こうした働き方の変化が、G7で最低水準にある日本の労働生産性を向上させ始めているという。しかし、今後、日本の人口減少は避けられないため、労働者の生産性を可能な限り向上させることが日本にとって長期的な課題であるとダウンディング氏は強調した。
いまの日本経済には、“失われた30年”を終わらせ、“安いニッポン”から脱却できる兆しがあるようだ。高付加価値戦略に攻めの設備投資…その決断の裏にある経営マインドの変化。そして働き方の変化が生む生産性の向上。これらを一過性に終わらせずホンモノにできるか…それが問われている。
(BS-TBS 『報道1930』 8月10日放送より)