かつて動物に人の格好をさせたり、ショーを行ったりしていた動物園。人のために動物がいるのではなく、動物が動物らしく生活できる場所でありたいー。そんな思いがいま、動物園に広がっています。今週、「動物の幸せ」を掲げた全国初の条例ができました。これから動物園はどう変わるのでしょうか。

■全国初の条例で変わる動物園

広々としたスペースに、水浴びができるプールも備えられている、札幌市円山動物園のゾウ舎。餌は決まった時間に与えず自ら探して食べるように飼育員が様々なところに仕掛けます。

円山動物園のゾウ舎

札幌市円山動物園・神賢寿 園長
「ミャンマーから来た4頭のゾウが暮らすゾウ舎になっています。床は砂地になっていてゾウの足に優しい床になっています」

引っ越しを控えているオランウータンの親子。これまで築40年以上の狭い獣舎に暮らしていました

オランウータンの獣舎は手狭に

飼育員
「すべて1000平米の土地を使って建て直しをしています」

来年秋に完成予定の「オランウータン館」。オランウータンのふるさと、東南アジア・ボルネオ島の森を再現した施設を目指すといいます。

人のために動物がいるのではなく、動物が動物らしく生活できる場所でありたい。そんな思いが、いま動物園に広がっています

札幌市円山動物園・神賢寿 園長

札幌市円山動物園・神賢寿 園長
「動物園は何のために存在しているのか、それが保全活動だったり教育だったりしますので、そこからのアプローチで野生動物をどう飼育していくのかというような考え方に変わってきたと思います」

こうした「動物福祉」の観点から、動物園の役割や責務を定めた条例が、全国で初めて札幌市で成立しました。条例では動物園が「生物多様性の保全」を目的に活動することや、そのために「動物の飼育環境を整える責任があること」などを定めています。

■きっかけは「誤った管理体制」…向けられた厳しい目

実は、これまで動物園について設置の目的を明記した法律などはありませんでした。

かつて円山動物園は、動物に人の格好をさせたり、ショーを行ったりしていました。動物たちはコンクリートの床や小さな檻で暮らしていました。

1960年当時のショー

考え直すきっかけは2015年。飼育していたマレーグマが誤った管理体制のため、死んだことでした。動物園に厳しい目が向けられ、その後改革を重ねてきました。

心がけているのは、動物が自らの思いで行動できるよう選択肢を与えること。

例えば、仲睦まじい姿が人気のエゾタヌキの兄弟のところには、「屋内に入り場合によってはご観覧いただけないこともあります」という案内があります。

仲良し兄弟のエゾタヌキ

こうした取り組みに来園客からは「人間の気持ちなんか動物が考えてくれないのは当たり前だから元気に過ごしてくれればいい」といった声が聞かれます。

エゾタヌキ担当からのメッセージ

動物に選択肢を与えようという取り組みは他の動物園でもー。

■動物園に設けられた「逃げる場所」とは

京都市動物園でひときわ賑わう「ふれあいルーム」。モルモットとして知られているテンジクネズミを直接触ることができます。

京都市動物園の「ふれあいルーム」

飼育員の案内「真ん中に休憩所という透明の筒がおいてあります。この中にいる子たちはいまちょっと触られたくないよ、休みたい子とかが入っている」

ここではテンジクネズミが「逃げる選択」ができるよう休憩所を設けています。そのわけはー。