被爆の実相を世界に知ってもらうために

MC:被爆者に代わって被爆の実相を伝える被爆資料の重要性は高まっています。
長崎市は現在、被爆80年に向けて原爆資料館の展示リニューアルの検討を進めています。
資料館の展示をどうするか、議論を進める運営審議会の委員も 林田さんは務めておられます。
核兵器使用のリスクが高まっている今、被爆地 長崎が取り組むべきこと、資料館のあり方も含め、どのように考えていますか?

林田さん:ウクライナのことやG7のこともあって、ヒロシマ・ナガサキに対する注目は世界的に高まっていると思います。
自分たちが(核兵器を)使う側になるかも知れないし、使われる側になるかもしれないとなった時に、被爆の実相を知りたいという人が増えているということを考えると、『長崎の人たちにとってのリニューアル』であるのと同時に『世界の人たちにとってのリニューアル』でもあるということを考えなければならない。
そういうポイントで、何が論点になるのかということを、これから議論していかなければならないと思っています。

MC:具体的にポイントを挙げるとすれば?

林田さん:まずは原爆投下というのが、戦争の中で起きたことなんだということを考えた時に、”あの戦争を私たちがどう認識しているのか?”というのが前提になってくると思います。
その認識が世界の人たちと、あまりにも差が開いてしまうと、被爆の実相をキチンと見てもらえない、そういった事態にもなりますから── 原爆の被害の実相をキチンと伝えるためにも── あの戦争のことをどう捉えて展示していくのかは、とても大事なポイントになってくるんじゃないかと思います。

MC:ここまで長崎大学“RECNA”の林田光弘さんにお話を伺いました。