文部科学省のプロジェクトチームは兵庫県にある大型放射光施設Spring-8(スプリング・エイト)の高度化を進めるべきとの報告書を公表しました。およそ500億円の改修費用について概算要求に盛り込みたい考えです。

放射光施設は波長の短いX線を利用して物質の微細構造などを調べる施設で、1997年に利用が始まったSpring-8は98年7月に起きた和歌山毒カレー事件でのヒ素の分析に使われるなど世界の先端をいく施設として活躍してきました。

しかし、利用開始から25年以上が経過し能力も陳腐化してきたことから、放射光の明るさをおよそ100倍に向上させ、世界一の放射光施設として再び世界をリードしていくべきであるとプロジェクトチームは結論づけました。

大型放射光施設としては仙台市に建設中のNanoTerasu(ナノテラス)もありますが、Spring-8ではNanoTerasuより波長の短いX線を使うため、それぞれの特徴を活かした研究ができるということです。

高度化したSpring-8は2029年から稼働させる予定で、プロジェクトチームではおよそ500億円の改修費用について概算要求に盛り込みたい考えです。