電気代の高騰で博物館や美術館もピンチです。JNNが国立の博物館と美術館にアンケートを行ったところ、6割以上が施設の運営に「影響がある」と答えています。

国立科学博物館長「他のお金がもたない」 5年で約1.6億円増加した光熱費

日本で最も歴史のある博物館の1つ、東京・上野の「国立科学博物館」。

全長約14メートルに及ぶ、マッコウクジラの巨大な標本や、上野動物園で飼育されていたジャイアントパンダの剥製など、500万点に上る文化財を収集しています。

茨城・つくば市のある施設には、動物の剥製がずらりと並ぶ部屋があります。
こうした文化財の多くは、温度や湿度を一定に保つことができる「収蔵庫」に保管され、痛まないよう慎重に管理されています。

国立科学博物館 動物研究部 川田伸一郎 研究主幹
「これはライオンのお母さんとヒョウのお母さんの間で産まれた雑種。この個体を含めて全部で5個体しか産まれなかったので、そのうちの2個体がうちにある」

ところが今、国立科学博物館を苦しめているのが“電気代の値上げ”です。

国立科学博物館によると、使用量は変わっていないにも関わらず、光熱費は、2018年の約2.2億円から、2023年には約3.8億円まで急増する見込みです。
そのため一時的に空調を切るなどの対応を余儀なくされているといいます。

国立科学博物館 動物研究部 川田伸一郎 研究主幹
「馬の皮って物凄く繊細。乾燥に弱い。一日中、空調を回しておければ本当は安心だが、なかなか厳しい」

職場の照明や空調も消すなどしていますが、資金難に直面しました。そのため一時、研究費から運営費を補填する事態にまで陥りました。

国立科学博物館 篠田謙一 館長
「光熱費が上がって、その分払っていくと、他のお金がもたないということで、いったん配分したお金のうち、まだ使ってない研究費を全部引き上げた。皆さんに我慢していただいたが、これはおそらく初めての出来事」

これは国立科学博物館に限った話ではありません。