三浦龍司(21、順天堂大4年)がヨーロッパで快挙を達成した。6月9日のダイヤモンドリーグ・パリ大会男子3000m障害は、ラメチャ・ギルマ(22、エチオピア)が7分52秒11の世界新記録で優勝したが、2位に食い込んだ三浦が8分09秒91と、自身が21年東京五輪予選でマークした日本記録を0.01秒更新した。
三浦は東京五輪決勝では、この種目五輪&世界陸上を通して日本人初の入賞(7位)を実現させた選手。昨年の世界陸上オレゴンでは惜しくも予選を通過できなかったが、8月の世界陸上ブダペストではメダルも狙える実績を積み上げてきた。
6月末にインタビューした内容の一部を紹介する。

今季の国内2レースとの違いは?

――ギルマ選手が世界新ペースで飛ばし、それにつられて他の選手も速い展開になりました。三浦選手は後方から追い上げ、残り1周地点で3位まで上がっていましたが、残り300mでは4位に落ちました。そこからの展開は?

三浦:バックストレートで1人を抜き、最後の水濠(残り150m付近)手前で1人を抜いて2位に上がりました。

――ラスト1周だけでなく、水濠で順位を上げることが多かったのですが、それを狙って走った?

三浦:狙っていたというよりもレースを走っている中で、今日は手応えがいいな、っていう感触がありましたし、なおかつ(各障害を踏み切る際に適切な位置に)足も合いましたし。いい時の跳び方をしていったら、越えるごとに前との差が縮まっていって、後半になると抜くことができて、リードを奪っていったのだと思います。

――5月のゴールデングランプリと6月の日本選手権、国内2レースでは足が合わないと話していました。

三浦:パリでは足が合いましたね。特にそのための練習をしたわけではなく、レースを重ねる中で距離感が鋭くなってきたかな、と思います。(それを世界のトップ選手たちとのレースでできるのは)当然というわけではありませんが、レースを経験していく中で課題だったところが克服できたな、とは思います。

――国内2レースでは、水濠を越えて着地した後にバランスを崩すシーンがありました。

三浦:パリではありませんでしたね。バランスを崩した原因を色々考えてみたのですが、筋力不足でフラつくような練習はして来なかったつもりです。接地衝撃に対する筋力強化を特別してきたわけではありませんが、シンプルに走りに余裕がなく、疲労感が蓄積していって最後の水濠でフラついたのだと思います。それがパリでは、最後まで力が残っていました。

東京五輪の自己記録(日本記録)を更新した意味

――東京五輪予選で出した日本記録(8分09秒92)を0.01秒更新したことは、どう自己評価していますか。

三浦:東京五輪は怖い物知らずで出場して、勢いで出したタイムだったりしましたが、今年はシーズンの入りも微妙というか、あまり良くなくて、調整や修正が多く必要でした。去年と比べてもマイナススタートだったところから持ち直したことはたぶん、今までの自分ではできなかったと思います。タイムで見れば0.01秒ですが、強くなった、厚みが増したな、と思います。

――長門俊介監督は東京五輪後の昨シーズン、ダイヤモンドリーグを転戦し、世界陸上は予選落ちして“世界を知った”と話しています。世界の怖さも知ったと思いますが、今回それを克服できた?

三浦:確かにオリンピックが終わって色んな大会、といってもそんなに多くありませんが、海外レースをいくつか走り、世界陸上の予選落ちも経験して、海外の選手が重きを置いているものの違いも感じながらやってきました。そういうレースを1つ1つ消化していく中で、僕は良くも悪くもそんなに結果を引きずらないタイプだと思いますが、良い刺激として吸収して、こうしていきたいという自分の目標がはっきりしてきました。そういう過程で臨めたパリ大会だったので、結果につながったのかな、と思います。

――海外勢が重きを置いているところは?

三浦:あくまで僕の主観ですが、順位の方にタイムより重きを置いているのかな、と感じています。例えば世界陸上になれば本当に、順位だけを狙っていくような走り方をします。自己ベストを更新する目的で走る人はほぼいない。世界記録や今季世界最高っていうところはある程度意味を持つと思うんですけど。