「忘れることはないです、あの晩のことは」

豪雨から10か月が過ぎた今年6月。
被害の爪痕は残る一方で、集落の復旧は進んでいました。

目の前まで土石流が迫ったという住宅では、全壊は免れたものの玄関に水がたまり、床上浸水の被害を受けましたが、住民の知り合いや災害ボランティアの助けもあって泥は取り除かれました。窓は新しく張り替えられ、床はきれいに張り替えられました。

この日、集落を取材していると、一人の女性と出会いました。小岩内集落に自宅がある高野クミさん(76歳)です。天気の良い日に自宅に来て、換気や掃除、畑作業などをしているといいます。

【高野クミさん(76)】
「天気は…やっぱり雨降ると、なんか怖いっていうかね」

去年の豪雨で、自宅は床下浸水の被害に。あの日の夜は、集落の高台にある親戚の家に避難しました。

【高野クミさん(76)】
「忘れることはないです、あの晩のことはもう。上に行って、水の流れとか、みんな耳にこびりついています」

この小岩内集落では、全壊や大規模半壊に認定された住宅のほか、小屋や土蔵などあわせて18棟の被災した家屋が公費で解体されました。

【高野クミさん(76)】
「この光景を見てね、何とも言えない。今まではずーっと家があって、向こうは見えなかったんですよ。さみしいっていうかね。やっぱり小岩内が好きだから戻ってきて頑張らなくちゃって」