8月5日から千葉県で開かれる「ディベート甲子園」。熊本からは九州地区代表(全6校)として尚絅・マリスト学園・熊本高校の3校が出場します。

ディベートに青春をかけた高校生に密着しました。

【日本は有罪判決を受けた者に対し電子監視制度を導入すべきである。是か非か】

7月9日に開かれた「ディベート甲子園」の九州予選で提示された主題です。

マリスト学園女子生徒「GPS電子監視には効果がないです……」

聞き取れないくらい早いスピードのしゃべり

驚きの速さで論じる生徒たち。

「ディベート」とは肯定側と否定側に分かれて質疑や反論を経て、最終的にどちらの主張に説得力があるかを競うものですが、大会では決められた時間の中で意見を述べる必要があります。

過去、全国制覇を果たしたこともあるマリスト学園は、予選出場10校中3位で「ディベート甲子園」への切符を5大会連続で手にしました。

マリスト学園 3年 松田真優 部長「『準備が9割』と言われるほど事前準備が大事なので、練習量や準備は全国どこにも負けないくらい頑張っていこうと思います」

予選会から2週間、この日は全国大会に出場する熊本県内の高校が集まり合同練習会が開かれました。

予選会と同じように全国大会でも主題となるのは「有罪判決を受けた人の電子監視制度」について。

電子監視制度とは有罪判決を受けた人たちの位置情報を電子的に監視することで、韓国ではGPSを利用した足輪型の装置が導入されています。

制度否定側の意見「電子監視により職を失ったり周囲の人からの非難を受けたりなど社会的排除を受けたりする。社会復帰の意欲を失うことにより・・・」

めちゃくちゃ早口!

練習の成果を発揮しようと意気込んで参加しましたが・・・

制度否定側の意見「そもそも国が導入した政策によって、自殺が起きているということ自体が深刻なので、差分、、、はい、あり、、、はい、飛ばし、、、です」

なかなか論理だてて堂々と主張することができませんでした。

マリスト学園 3年 松田真優 部長「まだまだ全国で勝つには力が足りないかな。
力不足を実感した感じですね」

全国大会まであと10日となった7月26日。大会では「肯定側」にも「否定側」にもなることから、自分たちの主張をどう筋道立てて説明するのか議論を重ねます。

女子生徒「『監視されているストレスが』だけだと監視だけでそこまでストレスがかかるか?と怪しまれるので(足輪がばれることで)「他者から排除される」というのも持ってきた方がいいですよね」

電子監視によって再犯率が減少するという意見については、再犯率が高まるという反論も考えます。

男子生徒「コミュニティから排除されて就職もできなかったら働けないし、住む場所もない訳じゃん。だから生きるために窃盗とか強盗とかせざるを得なくなっちゃう」

こうした活発な議論の傍ら1人パソコンと向き合うのは1年生の上田愛子(うえだ あいこ)さんです。

ディベートでは意見を裏付ける資料が重要で、上田さんは電子監視によって性犯罪の再犯率が低下したという肯定側の意見を切り崩す切り札を探していました。

そこで見つけたのが性欲抑制剤を用いた去勢。いわゆる「化学的去勢」です。

マリスト学園 上田愛子さん(1年)「化学的去勢はこれだけ効果があって、その上で電子監視をしているからここまで(再犯率が)下がったんだと言えたら相手側の解決性(メリット)がかなり削れる」

部員たちはそれぞれの立場で準備を進めていました。

そんな中、さらに多角的な視点を身につけようと訪れたのは熊本県立大学です。
法律に詳しい佐藤雄一郎准教授に大会の主題について意見を求めました。

熊本県立大学 佐藤雄一郎准教授「容疑がある人にGPSを勝手に付けて、警察が捜査するのがダメなら、再犯のおそれしかない人にGPSを24時間取り付けるのはかなり無理がある」

過去の裁判の判決についても学び、実際にディベートも見てもらいました。

佐藤 准教授「令和の時代だから十数年前のデータを持ってきても(弱い)。だから、すごく良い指摘だった」

ディベート甲子園まであと4日ラストスパートです。

マリスト学園 3年 松田真優 部長「目から鱗という感じで根本的なことについて知れたのでとてもよかったです。目指すなら1番しかないと思っているので、日本一を目指して頑張っていきたい」