琉球王朝時代に誕生したと言われる泡盛。長い歴史を持つその泡盛が形を変え『アロハ泡盛』として、沖縄にルーツを持つ県系人がハワイの小さな酒蔵で製造しています。ハワイの泡盛とはどのようなものなのか、作り手の思いと沖縄で開催されるイベントを取材しました。
新しい形の泡盛 ハワイで製造されている『アロハ泡盛』とは?

琉球王国時代から脈々と続く、沖縄の伝統的な酒『泡盛』。沖縄の食文化を語るうえで欠かせない銘酒です。しかし県酒造組合によりますと、泡盛の総出荷量は過去最高を記録した2004年から2021年まで17年連続の減少。2022年はようやく増加に転じたものの、ピークだった2004年の2万7688キロリットルの半分以下となっています。若者や女性層からのニーズが乏しく、今後のブランディングなどが課題となっています。
こうした中、これまでの泡盛とは異なる、新しい泡盛がハワイで製造されています。

アロハ泡盛の製造者ランディ・クバさん
「アロハ泡盛は沖縄とハワイのコラボレーションで泰石酒造と今帰仁酒造が沖縄で泡盛を配合して、ホノルルへ送ってもらい、ホノルルで私たちが香りをつけてハワイ味の酒にしている」
このアロハ泡盛をハワイで製造している、那覇市首里にルーツを持つ県系人のランディ・クバさん。かつて沖縄を訪れた際に、その文化に触れ、自らに流れる、沖縄とハワイのアイデンティティをより強く感じたといいます。

特にその味に感銘を受けたのが泡盛でした。ハワイと沖縄の文化が感じられる商品を作りたいと思い、原酒の泡盛にコナコーヒーなどハワイの名産品の香りをつけた、アロハ泡盛を開発しました。
アロハ泡盛の製造者ランディ・クバさん
「沖縄の黒糖もフレーバーにしたり、サトウキビやしょうが、沖縄のコーレグースに似たハワイのチリペッパー、ハワイのレモンフレーバーもあります」
沖縄へのリスペクトも忘れず、ハワイの魅力を合わせようと作り上げられたアロハ泡盛ですが、製造量は年間2万本以下。販路が限定されていましたが、ぜひ日本人にも味わってほしいと、2021年から輸出も始めました。

アロハ泡盛ジャパン 尾関紀篤さん
「商品の味はもちろん、特徴があるが、ハワイと沖縄がミックスしているという所を特に感じてほしい。ハワイへ渡った沖縄移民の故郷・沖縄への深い想いや支援の歴史を具現化したものが『アロハ泡盛』だと思う」
日本で代理店を務める、アロハ泡盛ジャパンの尾関さん。販路の拡大を目指す中で、泡盛のルーツ・沖縄での流通を第一に取り組んできました。
こうした中、アロハ泡盛の持つ背景と商品価値を共に発信したいと、那覇市国際通りの屋台村が全面協力し、7月からキャンペーンを開始。全店舗がアロハ泡盛を使用したカクテルを開発し、その魅力を発信しています。

島酒と肴 泡盛マイスター 門脇梨沙さん
「アロハ泡盛は口にしたことがない新しい味わいで、沖縄とハワイの繋がり、古くから人々の行き交いがあった上で生まれたものなので、歴史とかも感じられる特別なものだと思う。色んな店で色んな味のカクテルが飲めるようになっているので、屋台村を楽しみつつ、アロハ泡盛を楽しんでもらえるようになっています」
チリジンジャーにアロハブルー、ダブルレモンサワーやアロハコーヒー豆乳ハイなど、各店舗がアロハ泡盛のフレーバーを活かしたカクテルを提供。従来の泡盛の亜流となるアロハ泡盛ですが、泡盛に親しみのない人たちにも受け入れられやすく、選択肢の幅が広がり泡盛の認知にも一役かっています。

アロハ泡盛ジャパン 尾関紀篤さん
「アロハ泡盛は、まだまだ知名度も低く、買えるお店や飲める飲食店もほとんどないですが、屋台村でのキャンペーンが、試飲してもらえるきっかけになってほしい。また泡盛業界が色々な挑戦をしている中で、アロハ泡盛がその幅を広げられる存在に成長していけたらと思う」
1人の県系人が2つの故郷の味や思いを詰めたアロハ泡盛が、沖縄で陽気でアロハな風を吹かせます!

【備考】
イベント名:アロハアワモリフェア
場所:国際通り屋台村
期間:2023年7月14日~8月17日
特徴:屋台村各店でアロハ泡盛ドリンクやアロハ泡盛デザートを提供