7月11日から開かれたNATO=北大西洋条約機構の首脳会議。
開催されたのは、バルト三国の一つ、リトアニアです。リトアニアの人たちを取材すると、ロシアの脅威を切実に感じていることが伝わってきます。

一方で、ロシアと歴史的に深い関係のあるリトアニアには、ロシアにルーツを持つ人たちも多く住んでいます。ロシア人の母親を持つライマさんは、ロシアの情報操作がもたらす「心の溝」に苦しんでいました。

反ロシア強硬派のリトアニア ウクライナ支援に積極的

リトアニアの首都ビリニュス。
街のいたるところにウクライナの国旗や支援の言葉が並んでいました。

ロシアの飛び地「カリーニングラード」とロシアをつなぐ列車が通る、ビリニュス駅には、ウクライナ侵攻でケガをした人や壊された建物の写真が張られています。
ロシアメディアが報じない、ロシアの残虐行為を乗客に伝えるためです。

リトアニアの人たちはウクライナの支援に積極的です。
“ウクライナの次は私たちかもしれない”

リトアニアは、「カリーニングラード」とロシアの同盟国「ベラルーシ」に国境が接する地理的な条件と、半世紀にわたって旧ソ連に併合されていた歴史も影響し、その脅威を切実に感じています。

ウクライナに軍事品を送るための“募金”に多くの市民が参加しています。

去年5月には無人戦闘機の購入に約8億円が集まったほか、今年2月には防空レーダーを送るために約22億円が集まり、17基のレーダーが送られました。

防空レーダーの募金を主催したうちの1人、NGO「ブルー・イエロー」のヨナス・オーマンさんです。ウクライナへの軍事的な支援を2014年から続けていて、軍事装備品だけでなく、義勇兵も派遣しています。募金額の大きさに驚き、そのわけを聞くと、こう話しました。

NGO「ブルー・イエロー」オーマンさん
「市民はウクライナのために何かすることがどれだけ重要か、理解しています。もしロシアがウクライナで勝利すればワグネル、ミサイル、戦車、すべてがここに来ます。最終的な目的は、戦争を終わらせることではありません。ロシアに勝利することです」

リトアニアは国防にも力を入れています。
取材に応じた、リトアニアの国防副大臣は、ロシアの戦線拡大に危機感を示し、NATOによる防衛強化の重要性を訴えました。

リトアニア ジルヴィナス・トムクス副国防相
「ロシアはその能力があるというだけでなく、ヨーロッパで残酷で大規模な戦争を始めるつもりです。NATOと戦争を始める一歩手前まで来ています」