島の「生と死」に向き合う 看護師の「うたさん」
瀬戸内海に浮かぶ、香川県土庄町の豊島(てしま)。かつて住民一丸で産業廃棄物の不法投棄問題と戦い、今では瀬戸内国際芸術祭で「アートの島」としても知られるこの島に、高齢者たちの命を懸命に支える診療所があります。

人口減少、過疎高齢化が進む島で、日々島の高齢者たちの「生と死」に向き合う看護師・小澤詠子さん、通称「うたさん」に密着しました。
島で唯一の診療所 訪れるのは70~90代の高齢者
虫に刺され、足が腫れたと、71歳の一人暮らしの男性が、島の診療所を訪れました。【画像】のように、ふくらはぎが真っ赤に腫れあがっていました。

(看護師) 「両足ともやったん?」
(医師) 「おっちゃん掻いたらいかんで~」
(高齢男性)「知らん間に掻いとるやん!」
「おっちゃん」の靴下には、動き回る小さな黒い粒が...。

(看護師) 「これ何?ありんこさん?これって先生アリ?」
(高齢男性)「こんなもんが、ようけおるんや」
(医師) 「これノミや!ノミや、ノミやがな」
(看護師) 「跳んできた、跳んできた」
(医師) 「ようけおるでおっちゃん、そりゃ痒いわ」

(医師)
「そうしたら早々にお引き取り下さい(笑)。そんなところで寝よったら病気になるで。ネコにおるんやわ、絶対」

ここは、島で唯一の診療所。島の命を守る医療機関です。訪れる人のほとんどは、70代から90代のお年寄りです。
(医師)
「診療所まで、途中休まんと来れた?」
(高齢女性)
「手押し車を押して、来れた」
豊島で最年少の看護師「うたさん」

島の診療所に1人の看護師がいます。最年少の36歳・小澤詠子(うたこ)さん。島のお年寄りからは「うたちゃん」「うたさん」と呼ばれ、親しまれています。
(小澤さん)「えらい粋な帽子をかぶって」
(勲さん) 「粋なもんじゃろう」
(小澤さん)「目鼻立ちがぱっちりしているから似合ってる」
(勲さん) 「それじゃさよなら。どうも有難う」

(小澤さん) 「(2人は)いっつもペア」