「池に飛び込んでやろうかと」孤独に苦しむ高齢女性

診療所での診察は午前中だけ。午後は看護師の小澤さんが、気になる高齢者の家々を巡回しています。この日、訪れたのは、一人暮らしの女性の家です。
看護師の小澤さんとは20年来の付き合い、岡崎英子さんです。

(小澤さん)「英子さんも、もう86か」
(英子さん)「86になって、どないなるんだろうか思うけど、『時には一人でいることに腹が立って、この池に飛び込んでやろうか』と思うくらい」
(小澤さん)「そんな時があるん?」

岡崎さんは、言いようのない寂しさを抱えていました。
「一人いうんは、本当によくないよ」
豊島に20代の頃に移住してきた看護師の小澤さん。岡崎さん夫妻には、その頃から色々とお世話になってきたといいます。その岡崎さんは9年前に夫の利夫さんを亡くしていました。

(英子さん)
「お父さん、ちょっと写真動かすでな」
(小澤さん)
「利夫さんの顔を見ると、泣けるね」
(英子さん)
「いっつも一緒におるからね。夕方来て写真をぽんぽんと叩いて『お父さんお休み』って言うてな。もう毎日それが日課」
「これでみんな帰ってしもうたら、また一人やね。一人じゃから。一人いうのはほんまに良くないよ」

(英子さん)
「有難うございました。いつもいつもお世話になります」
(小澤さん)
「じゃ、また」
英子さんの家を後にする小澤さん。足を痛めている英子さんが、追いかけるように家の外まで見送りに来てくれました。

(英子さん)
「ごめんなさいね。邪魔ばっかりして」
(小澤さん)
「見送ってくれるあたりが英子さんじゃわ。有難う」