瀬戸内海に浮かぶ香川県土庄町の豊島(てしま)で、島の高齢者たちに寄り添い続けている診療所があります。過疎化・超高齢化が進む島で、日々奮闘する1人の女性看護師・小澤詠子(うたこ)さんを追いました。
前日、島内で亡くなった77歳の男性「豊島では若いほう」

7月、また一人島の住民が亡くなりました。その翌日、診療所で作成するのは、死亡診断書です。

(医師 岩井敏恭さん)
「徐々に低酸素状態になって、亡くなったと」
(看護師 小澤詠子さん)
「午前3時にちょっと話をして。そうですね。眠るように」
―お幾つだったんですか?
(小澤さん)
「77ですね。豊島では若いほうですね」
(岩井さん)
「すごく優しい人ですね」
(小澤さん)
「分かりやすい優しさじゃないんですけど、約束したら絶対守って、診療所に何時に来るって言ったら絶対に来るし、それまでに用意する書類が来てなかったら怒られる。出来とらんのかって、口数は少ないんですけど」
亡くなった男性 スマホに残された前日の笑顔
小澤さんがスマートフォンで撮影した、亡くなる前日の写真を見せてくれました。

【画像】は、奥さんの横で満面の笑みを浮かべる、咲村和夫さん(77)。島で生まれ、長年石職人として働いてきました。死因は塵肺でした。

医師の岩井さん、看護師の小澤さんと2人で、死亡診断書を届けに行きます。自宅には、最後の別れを告げに島の住民たちが次々に訪れていました。
(小澤詠子さん 島の住民に)
「引き続きよろしくね」
「みんな同じ集落でずっと暮らしてた人だから、親戚でもあるし。口づてに来て、何か言う訳じゃないけど、皆来てお座敷に座って、じーっと身体を拭かれるの見てたり」
