◆歌を聴いて番組MCが感じたこと


田畑竜介アナウンサー:たまたまある日、神戸さんの元に生まれたお子さんに障害があった。家族に障害を持つ子がいるということで抱えた、最初からすぐ受け入れられたわけじゃないいろいろな思いをめぐらせて、でも「生まれてきてくれてよかった」と思うプロセスが、素直に正直に綴られている文面ですね。サウンドがすごく優しく語りかけてくる感じです。

武田伊央アナウンサー:約8分ありましたが、メリハリがあって聴き入ってしまいました。音楽に乗っていることで、また訴えかけるものがあります。

神戸金史解説委員長:事件の3日後、居たたまれなくなってパソコンに向かい、書いて一度見直して、1時間くらいでフェイスブックにアップしただけの文章が、こうして広がっていったのは驚きでした。さらにこの後、ラジオやテレビのドキュメンタリーになっていったわけです。長男が私の元に生まれてきたことで、全く知らない世界の表現を僕は記者としてできた。事件の後も、長男の存在を心の中で受け止めていく過程が進んでいった気がしています。



◆神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。近著に、ラジオ『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』の制作過程を詳述した『ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る』(共著、石風社)がある。

新著『ドキュメンタリーの現在』