エジプトで小麦価格が急騰

ウクライナが輸出している主な食料・食材はロシアによる侵攻前は、揚げ物からドレッシングまで幅広い料理に使われるヒマワリ油で世界1位。トウモロコシは4位、小麦は5位と、世界の食料事情を支える農業大国でした。主な輸出先はトウモロコシが、中国、オランダ、エジプトなどで、小麦がインドネシア、エジプト、パキスタン、などアフリカからアジアまで幅広く広がっていました。エジプトでは小麦の価格が8割も高騰しています。

「日本の食卓」にも打撃

今回のロシア離脱をめぐり世界の穀物価格の目安となっているシカゴ市場の小麦の先物価格は一週間で16%も上昇しています。日本はウクライナから小麦の輸入はありませんが、85%を海外から輸入しており、国際価格の高騰の影響は日本にも及びます。2022年10月以降、政府が価格急騰をおさえる措置をとっていても、1キロあたりの小麦の市場価格は侵攻前の2022年1月の278円から329円に上昇、家計への打撃となっています。

飢餓人口“5000万人増”

世界は気候変動や新型コロナ、人口の増加により、すでに食料不足が懸念されていて、国連機関などの最新の報告書では、慢性的な栄養不足に陥っていることを意味する「飢餓に直面している人口」は去年時点で7億3500万人でした。2025年時点の予測では侵攻がなかった場合の予測より、飢餓人口が5000万人以上も増えると試算されています。

戦後も続く食料危機

青い空と小麦に満ちた大地が国旗となっているウクライナですが、戦争の影響で作付けも満足にできていません。仮に戦争が終わっても、耕作地にばらまかれた地雷や不発弾が復興の足かせになることは確実で、食料危機を加速させています。

(「サンデーモーニング」2023年7月23日放送より)