「62%が脂質異常症に該当」 健康被害の実態把握へ

多摩地域の市民団体が、PFASの実態を把握するため協力を求めたのが、環境衛生学を専門とする京都大学の原田准教授だ。

京都大学(環境衛生学) 原田浩二准教授
「今すぐ、これが非常に何か影響が出るというようなことではなくて、しっかりこれを予防するような対策を取っていきながら、健康のリスクを下げていくということが必要だと思っています」

市民団体は、原田准教授らと共同で、立川市や国分寺市などの住民、650人に対し血液検査を実施した。

その結果、半数以上の住民の血液から、アメリカで健康リスクが高まるとされる値、1ミリリットルあたり20ナノグラム以上のPFASが検出されたのだ。
この基準値は、学術機関のアメリカ科学・工学・医学アカデミーが定めたものだ。

このアカデミーはPFASに関する十分な根拠のある健康への影響として、コレステロール値が上昇する脂質異常症や腎臓がんのリスクの増加、胎児や幼児の成長の低下などを挙げている。

5月から、地域の複数の医療機関が、「PFAS相談外来」を始めた。

立川相互ふれあいクリニック 青木克明医師
「(血中濃度のPFAS検査結果)36.4(ナノグラム)」

昭島市在住 小沼恒雄さん
「50人検査してね。上から5番、5位に入ってるんです」

この男性のように、血中濃度のPFASが、1ミリリットル中20ナノグラムを超える場合、アカデミーのガイドラインでは、「脂質異常症」など、不安視される疾患について詳細な検査をするよう臨床医に求めている。

これに従って、「PFAS相談外来」が検査したところ、まだ29人分の患者データだが、「脂質異常症」に該当する人が、一般の日本人より高い割合でいることが分かった。
厚労省によると、その割合は、一般的な男性で14.7%、女性で20.6%のところ、この29人では18人、62%が「脂質異常症」と診断された。

患者のデータをとりまとめている青木医師は…

立川相互ふれあいクリニック 青木克明医師
「62%が脂質異常症該当ということになったんですから、これは明らかに日本人の平均と比べて3倍、治療をしている方も3倍」

村瀬健介キャスター
「そういう意味では、先生方のデータからするとやはりPFASの血中濃度は健康リスクを高めている?」

立川相互ふれあいクリニック 青木克明医師
「それは間違いないと思いますね。脂質異常に関しては、確かに米国アカデミーのガイドラインに当てはまる状況があるということで、しっかりこれからもフォローしていかないといけない」

青木医師は、血中濃度が既に高い人には、これ以上のPFASにさらされるのを避け、定期的な健診や生活改善などを勧めていくという。