日本の小麦価格にも影響か ロシア「穀物合意」停止

小川彩佳キャスター:
ロシアの「穀物合意」の離脱は日本にも影響がありそうです。

山本恵里伽キャスター:
まず、問題の発端はロシアがウクライナ侵攻で黒海を封鎖したことです。そもそも黒海はウクライナやロシア、トルコなどに囲まれた海ですが、ウクライナ産の穀物は黒海に面した港から世界に輸出されていました。

2022年、ロシアが黒海を封鎖したことにより穀物の輸出が減り、世界的な食料危機が引き起こされて問題となりました。

小川キャスター:
ウクライナは世界有数の小麦生産国とあってロシア侵攻後、食料価格の高騰など、深刻な影響がありましたね。

資源・食糧問題研究所 柴田明夫 代表:
ウクライナ産穀物は中東・北アフリカ、東南アジアに輸出されており、ロシア産の小麦と合わせると世界輸出量の3割弱(ロシア16%、ウクライナ10%)になります。ウクライナ穀物輸出が停滞したことで、小麦などの輸入の多くを頼ってきた途上国が食料不足になり、飢餓人口が増えたという状況になります。

山本キャスター:
こうした状況を何とかしようと2022年7月、ウクライナとロシア、仲介役の国連とトルコの4者で「ウクライナ産穀物の輸出合意」が成立しました。

ただ、この合意について13日、ロシアのプーチン大統領は「要求が満たされない限り、合意枠組みから離脱するつもりだ」と述べました。さらに17日、ペスコフ報道官は「取り決めが守られていないため、事実上、合意は終了した」と表明しました。

小川キャスター:
この合意からの離脱が伝えられたことで、黒海の輸出ルートは閉ざされたと考えていいのでしょうか?

資源・食糧問題研究所 柴田代表:
これまでも、合意されていても輸出を滞らせている面はあったのですが、今回はかなり本気度が見られるので、もしこの状況が8月以降も続くようなら、世界的な食料危機に至る可能性が高いと思います。足もとの穀物価格は一時的に上昇しましたが、その後は下がっています。輸入が今後も困難になれば、2010年後半~11年の「アラブの春」と言われた世界的な食料不安にともなう、政情不安につながる可能性もあると思います。