市街戦ではなく包囲戦でロシア軍を追い詰めている

バフムト市を解放するという今のミッションが始まったのは4月の下旬頃。ジョリン氏の部隊が展開する包囲を目的とした戦いは、ロシア軍を追い詰めているだけでなく、他の部隊のウクライナ兵に心理的な変化を起こしているという。

「ロシア軍は私たちの勢いに耐えられません。我々第3旅団は防衛を続けるだけでなく、敵を陣地から追い出すことも可能だということを見せました。私たちに見習って他の部隊も進軍するようになり、敵はウクライナ軍の部隊の圧力と勢いに耐えられなくなりました。敵はバフムトの南と北で陣地を失い、部隊が破壊されています。ウクライナ軍の部隊の中で『私たちも進軍できるし領土を解放できる、敵を陣地から押し出すことが出来る』という心理的な変化が起きたのです」

ロシア側は兵力を5万人に増員…しかし我々は敵の数を恐れない

ジョリン氏は「ウクライナ軍が優勢だ」と語るが、ロシア兵約5万人がバフムトに集中しているという報道もある。

「私たちが進軍を始めてから敵は増員を検討し始めました。当初ここにいた部隊だけで抵抗できなかったので、増やしたのです。あらゆる部隊がここに移動してきて、私たちの進軍を引き留めようとしていますが、あまり成功していません」

ロシア側が増員を始めたのは、ワグネル部隊が撤退しウクライナ軍の反転攻勢が始まる前の5月下旬頃。予備軍や複数の空挺部隊のほか、ワグネルと同様に受刑者を集めた部隊などがいるのだという。しかし、敵の数は問題ではないとジョリン氏は強調した。

「敵のほうが兵力や兵器、弾薬が多いという状況下で戦うのはもう慣れてきました。そのため、目の前にいる敵の数を見ても恐れません。敵の数はウクライナ軍のペースに影響を与える可能性はありますが、我々はいずれすべての領土を解放します。敵の数を恐れません」