6月上旬に始まったとされるウクライナ軍による反転攻勢から1か月。ロシアが掌握を宣言した東部の拠点バフムトでは、プリゴジン氏率いる民間軍事会社ワグネルが撤退したあと、ウクライナ軍が前進しているという見方が出ている。現地で7か月前から戦っているウクライナ軍の中で最も大きな旅団の1つ、第3独立襲撃旅団のマクシム・ジョリン副司令官にいまの戦況を聞いた。

ワグネルに代わってロシア正規軍部隊がバフムトに

「今、私たちの旅団はバフムト付近で襲撃という軍務を遂行しています。毎日のように敵の陣地の襲撃を行い、その陣地から敵を追いだして先に進んでまた襲撃を行うのです」

ジョリン氏によると、バフムトにはいま、ワグネルに代わってロシア正規軍の部隊がいるという。

「ワグネルはロシアの部隊の中で最も成果を上げた部隊の一つだったと認めざるを得ません。今の相手は襲撃と進軍ではなく、防衛に従事するロシア正規軍の部隊です」

そのロシア正規軍に対する戦い方は、市街戦ではなく包囲戦だとジョリン氏は語る。

「市街戦は最も難しい戦闘の一つとして知られていますが、私たちの今の目的は、人員の損失を減らすために市街戦を避けて周辺の小さな集落を制圧しバフムトを包囲することです。市街戦は大きな損失を伴うためです。バフムトの南と北で進軍を行い、敵が投降するか逃げるかの選択肢しかない状況を作ろうとしています」