乳幼児が多く感染する「ヘルパンギーナ」の感染が岩手県内で拡大しています。直近の患者数が全国平均を上回り過去最多を記録していて、子どもを預かる施設では予防や感染拡大へ対応が求められています。

 盛岡市にある南仙北保育園です。6月中旬から下旬にかけて複数の園児がヘルパンギーナにかかりました。

(南仙北保育園 及川江芳 看護師)
「小さい子だとよだれがダラダラと出て(痛みで)飲み込めない。ご飯の摂取量も少ない子が多かった。年長ぐらいになると『喉が痛い』、『口が痛い』と教えてくれる子どもが多かった」

 感染状況は7月に入って落ち着いていますが、ヘルパンギーナではなく夏風邪と診断されて欠席している園児もいるといいます。

 県環境保健研究センター保健科学部によりますと、ヘルパンギーナはウイルス性の急性疾患、風邪の一種です。
 せきやくしゃみによる飛沫のほか、濃厚接触した場合にも感染します。
 急な発熱と口の中に水ぶくれができるのが主な症状で、大半は子どもがかかりますがまれに成人も発症します。
 予防には患者との接触を避けることと適切な手洗いやうがい、可能ならマスクの着用も効果があります。
 感染者が出た場合、塩素系の消毒剤を使って患者が手で触れたものからウイルスを除去すると感染の拡大を抑えることができます。

 岩手県内では6月26日から7月2日までの1週間で1定点あたりの患者数が9.43人となりました。全国平均のおよそ1.5倍に相当し、警報発表の開始基準となる6人を超えて統計を始めた1982年以来、過去最高です。
 保健所別では奥州が24.00、中部が15.17、県央が17.33などとなっています。
 新型コロナウイルスの流行した2020年から去年まで感染状況は全国的に低い状態が続いていて、今年になって流行が急激に拡大しています。今後の感染状況はどのように見込まれるのでしょうか。

(県環境保健研究センター保健科学部 佐藤直人 部長)
「例年8月をピークに9、10月までに徐々に減少しながら落ち着いていく病気。少なくともその期間は予防対策をしてほしい」

 県環境保健研究センターは乳幼児を受け入れる施設に引き続き基本的な感染対策の徹底を呼び掛けています。