独占密着、いよいよ始まった「保存処理」 

蛇行剣の保存処理には日本有数の考古学機関、奈良県立橿原考古学研究所も協力する。担当するのは、総括研究員の奥山誠義。これまでも国宝となった出土品に携わってきた。

奈良県立橿原考古学研究所 奥山誠義 総括研究員:
「前代未聞、唯一無二かもしれない貴重なもの。非常に緊張する」

いよいよ保存処理が始まる。約3か月ぶりに容器から出し、作業スペースに運ぶ。大人6人がかりで慎重に持ち運び、別の棟へ。台車に載せて、エレベーターに搬入する。

木枠を含めた全長は3メートルほど、斜めに滑り込ませてなんとか収まった。そして、運搬開始から約30分…

奥山 総括研究員:
「運搬完了です」

「全てが混ざったようなカオス」 蛇行剣の茶色い表面が初めてカメラの前に

翌日、梱包を解いて、蛇行剣を発見時の状態に戻す作業が始まった。

奥山 総括研究員:
「(現場で)梱包するだけでも2日がかり、開けるのも同じくらいかかるかな」

奥山がウレタンをカッターで切断し始めた。土が見えてきた。蛇行剣はこの土の上に乗ったまま現場から取り上げられてきていたのだ。奥山はその土を見ると開始早々、作業の手を止めてしまった。すると…

奥山 総括研究員:
「砂袋作ろうか、砂袋」

砂の入った袋をつくり、剣の下の土を、横から押さえるように周囲に置き始めた。この土でさえも貴重なものだという。

奥山 総括研究員:
「(土の)崩れを防止するために砂で抑え込むことにする。この粘土自体にも剣が持っている情報が入っているので迂闊に落とせない」

試行錯誤しながら、ほぼ1日かけてウレタンを外すと、ガーゼに覆われた、巨大な姿が…

そして始まった、ガーゼの除去。薬品で固まった二重三重のガーゼを別の薬品で溶かしながら1枚1枚丁寧に、慎重に剝がしていく。

すると…
これまで一部の関係者しか見たことがなかった蛇行剣の茶色い表面が初めてカメラの前に現れた。

奥山 総括研究員:
「(表面は)土、さび、全てが混ざったようなカオス。もう少し全体を見たり、局所的に拡大して見てみないと分からない」