■「心が折れかけてきた…」5年経った今も工事は始まらず

ミカン農家の西村保人さん。西日本豪雨で園地の約3分の1が被害を受けました。
西村さん
「何一つ変わっていないというか…」
2020年、西村さん再編復旧の説明会に参加しました。
会議後の西村さん(2020年)
「一応は納得はしました。作業しやすくなる角度にしてもらえるらしいので、それを一番期待している」

しかし、豪雨から5年。西村さんの園地では工事が一向に始まりません。二次災害の危険性が高い場所の工事が優先されているほか、近くで砂防ダム建設工事が行われている影響もあり、西村さんの園地は玉津地区の再編復旧の中で着工が後回しになっているのです。再編復旧が予定されている園地は、完成するまで苗木を植えることもできず、5年経っても収入が減ったままです。
西村さん
「命さえあれば何でもできる感じで頑張ろうといたけれど、だんだん心が折れかけ始めてきたかな。畑がきれいになったらそう思うけれど、この現状なもので…」
西村さんの畑の年間の収穫量と収入の一覧を見せてもらいました。西日本豪雨前の2017年度と豪雨後の2018年度を比較すると、かんきつの収穫量は約10トン少なく、収入も約200万円減っていて、西村さんは「ほぼ赤字」と話します。
西村さんの園地の再編復旧工事が終わり、ミカンを植えられるようになるのは4年後の2027年の見込みです。十分な木に育ち、安定した収入が得られるまでにはさらに4~5年はかかります。
西村さん
「急な山で大丈夫なんですよ、僕らは。災害に強い園地とか計画にあるけど、僕は全くそういうの必要ないので、1日でも早く園地を治してもらって苗木を植えたい。それだけ」