「逆線引き」の広島県の取り組みについて、RCCウェザーセンターの 末川徹 気象予報士が解説します。

RCCウェザーセンター 末川徹 気象予報士
逆線引きとは『災害リスクの高い土地の利用を抑制していく』取り組みです。広島県内では、経済成長・人口増加などが進み、「市街化区域」を山の斜面まで広げてきました。山の斜面には「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」と呼ばれる危険な地域がたくさんあります。近年の都市型災害を受けて、今度は「市街化区域」をせばめていくことで土地の利用を制限していく取り組みです。

今後の県の計画です。現在、山林や畑といった人が直接住んでいない土地から逆線引きされています。おおむね20年後には、県内に約1万か所ある「市街化区域(レッドゾーン内)」を、原則として開発が認められない「市街化調整区域」にすべて編入します。
50年後には、世代交代が進み、住む人が “おおむねゼロ” の状態を目指します。被災した住民に話を聞くと、土砂災害を受けて別の土地に転居したものの、新しい土地にとけ込めない高齢者たちが少なくないとのことです。「逆線引き」は、地域全体でのサポートも考えないといけないなと感じました。

広島県の都市計画課は、逆線引きとなる土地の所有者について、「個別でも相談に応じる。それぞれ市町の都市計画部局に問い合わせてほしい」としています。