末川徹 気象予報士(緑井3丁目)
「近くには田んぼがあって人の生活圏内です。坂を登っていくと、このあたりも『逆線引き』の対象で竹林が広がっています。背の高い竹が並んでいます。土砂崩れが発生したら危険です」

さらに、別の場所でも…

末川徹 気象予報士(緑井8丁目)
「土砂崩れを防ぐためでしょうか。緑色のネットが敷かれています」

広島県内では、まず先行的におよそ500か所が逆線引きされます。

畑の一部が「逆線引き」対象の住民
「逆線引きはもともと、国が決めたこと。家を建てることはない。家を建てるわけではないので土地はそのままに。数十年後にはどうなるかわからない」

近くの別の住民にも話を聞きました。

「逆線引き」対象近くの住民
「地下に水が流れ込んだらズルっと崩れそう。自宅も大きな被害を受ける…と恐怖感はある」

男性によりますと、逆線引きにしている目の前の急斜面は2014年の広島土砂災害で小規模な崩壊を起こしていたといいますが、県が調査した結果、「地すべりなどの心配はない」と伝えられたそうです。

「逆線引き」対象近くの住民
「山すそに住んでいる人は、できれば安全なところに移りたい。しかし、経済的な理由や事情があるので簡単に移れる状況ではない」

仮に転居したとしても「行政からの補償が見込めない」「地域コミュニティを簡単に手放せない」といった声があることも事実です

八木地区に住む畠堀さんは、この問題について「逆線引きの対象者だけでなく、地域全体で考えるべき課題」だと話します。

梅林地区 復興まちづくり協議会 畠堀秀春 さん
「世代を超えて、どんどん危険な場所から離れていく。土砂は、高い所から低い所に流れてくる。そのコースに家を建てている人は『行政から転居してください。すぐではありませんよ』と声をかける。そうしたルールは、みんなが同じ方向を向いて考えること」

八木・緑井地区は、住宅密集地の急な坂道そのものが土砂の流れ下るルートになり被害が拡大しました。その対策として、土砂が流れてくる “タテ方向” ではなく、山の斜面に対して “ヨコ” に逃げるための避難路「長束・八木線」の整備も大詰めを迎えています。

梅林地区 復興まちづくり協議会 畠堀秀春 さん
「危険な所に住んでいるという意識を持たねば。それぞれの生命と財産を守るために、逆線引きは必要なルールだと思う。」