翌日、五ノ井は母に対して「セクハラ行為にも疲れた」などとLINE(ライン)を送信した。6日には女性隊員に「首を決めてベッドに倒され、覆いかぶさられ、3人にピストンされた」旨のラインを送信した。その後訓練を離脱して帰省、母親にも申告し、被害届を提出した。

今でもフラッシュバック「命を削って闘っている」

その後、検察から五ノ井さんへの証人尋問が行われました。

【検察による証人尋問(概要)】
五ノ井さんは、上下黒色のスーツと白色のワイシャツ姿で、証言台の前のイスに座り、正面を見て答えました。

Q.行為を断れなかった?
A.周りに柔道部の監督や先輩がいて断れなかった。

Q.被告Aのときの体勢は?
A.首を絞められて首をひねりながら仰向けに倒れた。自分から見て右側に倒された。被告Aが私の身体に覆いかぶさってくっついている状態。

Q.性行為の正常位
A.はい。下半身を前後に振って。

Q.腰を振った回数は?
A.10数回だと思う。

Q.腰はずっとくっついていた?
A.腰を前後させていた。

Q.どう思った
A何も考えられなかった。

Q.それ以外の隊員は?
A.笑い声が聞こえてきた。

Q.行為はどのように終了
A.(被告が)自分で離れて終わった。

Q.被告Bの行為は被告Aのときと同じ?
A.覆いかぶさるのは一緒。

Q.腰を振る回数は
A.被告Aよりも回数は少なかったと思う。

Q.腰を振って接触した
A.はい。股の間に入ってきた。被告Bの陰部が押し当たるように。

Q.当たっている感触があった
A.はい。

Q.被告Bの行為はどう終わった
A.腰を振るのをやめた。

Q.被告Cは
A.被告Aと技のかけ方は一緒。胸のあたりに被告Cの顔があった。

Q.腰の振り方は
A.密着させた状態でゆっくり振っていた。

Q.どれくらい
A.5~6回くらい。

Q.断れなかった
A.その場の雰囲気や関係を壊してしまうと思った。

Q.訓練離脱はどのように?
A.親が倒れたと言った。

Q.なぜ?
A.本当のことを言うと今後戻れないと思った。

Q.自衛隊をやめたのはいつ?
A.去年6月

Q.なぜやめた?
A.自衛隊であることは外に話さないように言われていた。世の中の人に知ってもらいたいと思った。

そして最後に、言葉を詰まらせながらこう話しました。

「自衛隊に入隊するのが夢だった。今でもフラッシュバックして好きだった柔道が純粋にできない。事実を認めて反省してほしい。そのために命を削って闘っている。生きているのに必死です。(3人には)心から反省して事実を認めてほしい。」

今回の裁判の争点は「わいせつと認定される行為があったかどうか」です。次回の裁判は、7月31日に開かれます。

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第5回公判 陰部の接触「絶対にない」被告が改めて無罪主張 五ノ井さん「許そうと思ったのは間違い」