周囲で笑う隊員 被告は「誰にも言わないで」

【検察の冒頭陳述(概要)】

被告3人はおととし8月、陸上自衛隊郡山駐屯地に勤務していた3等陸曹(3曹)、五ノ井は1等陸士だった。

おととし8月3日、被告3人と五ノ井らは訓練のため、北海道野付郡の演習場に到着。3日午後8時ごろ、被告Cらの宿泊部屋だった2階208号室で隊員らの飲み会を開催。被告Aと被告Bの宿泊部屋だった209号室でも飲み会を開催。2人は途中で208号室に移動した。

五ノ井の宿泊部屋は別の部屋だったが、飲み会の際に階級の低い者がつまみを用意するという慣習のもと、208号室でつまみを作り、提供した。

208号室には被告3人や上司の1曹、2曹など、10人あまりがいた。五ノ井も208号室で飲むように言われて加わった。この際、五ノ井の階級が最も低く、女性隊員も五ノ井のみだった。

1曹と2曹は、宴席で格闘技「首ひねり」(一方が他方の首の後ろや顎に手を当てて首をひねりながら倒す技)について話していた。

1曹は被告Aに対して、五ノ井にこの技をかけるように言った。被告Aは五ノ井に対して技をかける旨を伝え、技をかけて近くのベッドに仰向けに倒した。被告Aは周囲の笑いを取るために性行為の疑似行為をしようと考え、五ノ井に覆いかぶさり、手で五ノ井の股を開いたうえ、ベッドに膝をついて腰を前後に振り、自らの陰部を着衣の上から五ノ井の陰部付近に接触させた。これを見た周囲の隊員が声をあげて笑った。

その後、被告Bが1曹や2曹から技のかけ方について説明を受けて、五ノ井を押し倒した。五ノ井に覆いかぶさって、両手首をつかんでベッドに押し付けた状態で、五ノ井の股の間に足を入れて膝をつき、腰を前後に振り、被告A同様に陰部を接触させた。

被告Cも説明を受けて、五ノ井を倒し、覆いかぶさって五ノ井の胸元に顔を当てるなどしたあと、上半身を密着させたまま腰を前後に動かし、陰部を着衣の上から五ノ井の陰部付近に接触させた。

1曹が周囲の隊員に対して「首決めて倒すってどうやるんだっけ」などと言ったことで、被告Aが五ノ井に技をかけて倒し、五ノ井の股の間に足を入れて腰を前後に振り、陰部を着衣の上から五ノ井の陰部付近に接触させた。被告Aは五ノ井に対して「これ誰にも言わないでね」などと言って口止めした。