陸上自衛隊郡山駐屯地に勤務していた元自衛官・五ノ井里奈さんにわいせつな行為をしたとして、強制わいせつの罪に問われている元自衛官の男3人の初公判が、福島地裁で開かれ、3人は起訴内容を否認し、無罪を主張しました。
五ノ井さんの性被害を巡り、元隊員らは、別の裁判でもわいせつな行為を否認しています。
五ノ井さんは、性的暴行を受けたとして元自衛隊員5人と、国に対して損害賠償を求める民事裁判を起こしていて、6月14日に行われた第1回冒頭弁論では、国側は隊員による性的暴行があったことは認めました。
しかし、元隊員5人のうち4人は「性的暴行はなかった」と争う姿勢を示しました。一方、1人は性的暴行の事実関係を認め、和解を求めています。
29日に開かれた刑事裁判の初公判でも、元隊員らは民事裁判と同じ主張をした形となりました。
今回の裁判の争点は「わいせつと認定される行為があったかどうか」です。
3人の被告はそれぞれ、格闘技をかけて五ノ井さんを押し倒したことは認めましたが、下半身を接触させるなどのわいせつな行為はしていないと主張しました。
また、被告のひとりは五ノ井さんを押し倒したあと、腰を降るなどの動きをしたが、下半身は接触しておらず、周囲の笑いを取るためでわいせつなことをしようとは思わなかったと証言しています。

それに対して検察側は、五ノ井さんやほかの隊員の証言、そして実況見分などの写真などをもとに、下半身が接触するなどわいせつな行為があったことを立証しようとしています。

わいせつな行為があったのか。これまで、声を上げて被害を訴えてきた五ノ井さんに対する行為を、裁判所がどう判断するかが注目されます。