◆『抱っこして、写真を撮りたい』母の一言

石崎さんが、病院のスタッフを通じて撮影を依頼したのが、北九州市を拠点に活動するボランティア団体「muikku」です。障害がある人や家族の写真を撮影する団体で、スタッフはみんな障害がある子供がいます。設立からの3年間で、これまで44家族を要望にあわせて撮影してきました。代表の上原藍さんは、事前に石崎さんからお願いされた「ある一言」が印象的だった、と話します。

muikku 上原藍さん「『どんな写真が撮りたい?』と聞いたら、『抱っこして撮りたいです』とおっしゃられて。お母さんの思いがぎゅっとつまった、一文ですよね。叶えることができれば、少しはお母さんと慶ちゃんの気持ちに寄り添えるのかな、と」
◆体調の急激な悪化…「何とか早く撮影を」

撮影会は当初、慶太さんの誕生日の6月に予定されていました。しかし4月に入り、慶太さんの体調が急激に悪化します。当時は新型コロナの分類が5類に引き下げられる前で、患者の家族などが病棟に入ることが制限されていました。
撮影会を前倒ししようと奔走したのが、慶太さんとともに約10年間過ごしてきた病院のスタッフでした。

国立病院機構小倉医療センター 病棟保育士 柴田優子さん「もうすぐお空に帰って行く子供がいて、そういう時に(撮影を)受け入れてくれた先生だったり、スタッフだったりの決断が、スムーズにいったきっかけなのかなと思います。それだけみんなに愛されていた」
医療スタッフたちの尽力によって、主治医から撮影会の許可が下ります。














