川を南に向かい、広島湾を目指します。櫂伝馬は長さ11m、幅1.5mの手漕ぎの木造船―。漕ぎ手14人が左右に分かれ、太鼓の音に合わせて「ヨイサー」のかけ声で櫂を漕いで進みます。

船頭が船尾に立ち、大きめの櫂を操って舵を取ります。最高時速20キロにもなるといいます。

川の周りから声援を受けながら櫂伝馬は海へと進んでいきます。

生徒たちは途中、船に乗り換え、昼食タイムです。

手のひらの皮がはがれ、テーピングをしているのは、3年生。高校最後の年に宮島への航海が実現しました。

県立大崎海星高校 3年担任 勇修平 教諭
「よくがんばっていますよね。今回、3年生って一部しか出ていないので、だからこそ、出ている子は逆に授業をがんばっている。練習の次の日は遅刻せんようにがんばっていくとか、そういう姿が立派だなと思います」

櫂伝馬がいよいよ、宮島に近づいていきます。

最終ゴール・厳島神社まで残り数百メートル。待ち受ける観光客にも太鼓の音やかけ声が聞こえてきました。

保護者
「子どもが乗っています。夏が来たら、男の子たちはやっぱり櫂伝馬に乗りたいですよね。盛り上がるんだと思います」

櫂伝馬は、一糸乱れぬ櫂さばきで大鳥居にゆっくりと近づいていきます。

厳島神社の大鳥居をくぐりました。90キロの大航海を終えました。

一行の代表
「大崎上島というところから、きのう、漕ぎ始めて2日がかりでやってきました。しかも、大崎海星高校という高校の生徒だけでやってきました」

櫂伝馬初挑戦の1年生たちに聞いてみました。

初挑戦の1年生たち
「とりあえず今は感動しかないです」

宮城から
「めちゃくちゃ疲れました」

― ゴールしてどう?
「がんばってよかったなと思いました」

東京から
「最初やったときは本当に疲れて、あんまりやりたくないと思っていたんですけど、みんなといっぱい声を出して、最終的に楽しいというこれだけの結果になって、すごく満足です」

保護者
「感動して涙が出そうになりました。みんな、大きい声を出して、『ヨイサー』と櫂を漕いで、久しぶりに息子に会ったんですけども、成長をすごく感じられました」

― 櫂伝馬ってどうです?
「かっこいいです。ずっと続いてほしいなと思います」

大鳥居前では乗船体験会も行われ、観光客が櫂伝馬に乗り込みました。生徒たちが太鼓をたたきながら櫂の漕ぎ方を伝えました。

参加した人たち(大阪から)
「『ヨイサ―』というかけ声で進むところが楽しかったです」

― 難しかった?
「いや。意外とかけ声に合わせてやると、非常にスムーズにできて楽しかったです。ぜひ残してほしい、とてもすばらしい伝統だと思います」

生徒たちは、大崎上島とゆかりのある厳島神社に参拝しました。