禁煙化が進む日本 航空機内の禁煙はいつから?

そもそも機内はいつから禁煙になったのでしょうか。

旅客機内の禁煙化の始まりは1980年代にアメリカの航空会社から始まったと言われています。このあとから世界的に機内禁煙の流れが生まれ、1992年に国際民間航空機関(ICAO)がタバコによる健康被害と機内火災の予防を目的として、飛行機の禁煙化を勧告しました。

日本ではANAとJALの大手2社が段階的に機内の禁煙化を進め、1999年に全面禁煙を開始し、その他の国内航空会社も追随する形で禁煙へと舵を切った形になります。

日本国内で航空機内が禁煙となって20年あまりが経過。しかしその後に導入された航空機においても機内に灰皿が設置されています。

灰皿があれば、たばこを吸おうと思ってしまう人が出る可能性もあるのでは?禁煙と矛盾するかのようなこの状況について、その理由を航空関係者に尋ねると-

航空関係者
「矛盾するかもしれないのですが、FAA(米国連邦航空局)の規定に準じる形で万が一に備えて飛行機のトイレに灰皿を置いているんです」

灰皿の設置は日本の国内法では義務とまでは言えないとのことですが、規則を守らずトイレでたばこを吸い、火のついたたばこを捨ててしまうと火災に繋がりかねず、緊急的な対応のために備えられているといいます。

つまり吸うための灰皿ではなく、緊急時に消し止めるためのものということです。

また日本の航空法では『航空機内における安全阻害行為等の禁止』を定めています。安全阻害行為とは「航空機の運航や他の乗客の安全に支障を及ぼす恐れ」がある行為としていて、トイレ内での喫煙のほか、乗務員の業務を妨げることや指示に従わないことなども含まれます。

また2020年には、近年増加している加熱式たばこや電子たばこも含まれるよう規則が変更されました。たばこの種類を問わず、機内での完全禁煙を明文化しています。禁止命令に従わない場合は、50万円以下の罰金が科せられることがあるなど重い罰則があります。

完全禁煙の機内に灰皿が設置されているという不思議。調べてみると、火災をはじめとする事故を絶対に起こさないという徹底した安全意識がありました。