ミャンマーの若者たち 戦い続ける理由は

日下部キャスター
「アウンカさんこんにちは、お久しぶりです」
アウンカくん
「お会いできて嬉しいです」
日下部キャスター
「表情が精悍になったというか、たくましいですね」
わずか1年前、あどけなさが残っていたアウンカくんの表情は、今はまさに兵士のそれです。
前の日に最前線から戻ってきたばかりだというアウンカくん。この日が25歳の誕生日でした。
日下部キャスター
「ここで寝てるの?これビニール?」
アウンカくん
「これはハンモックです」
日下部キャスター
「ゆっくり眠れます?」
アウンカさん
「眠れますが、寒い日は背中が冷たいです。ここは基地なのでこれ以上は見せられません」

アウンカくんは、民主派の軍事組織「国民防衛隊」に所属しています。軍に反発する若者らで結成され、軍隊経験のないメンバーがほとんどです。
アウンカくんも、工科大学に通う音楽の好きな学生でした。自分が武器を持って戦うなんて夢にも思っていませんでした。

アウンカくん
「今、私たちには自由がありません。軍は私たちを厳しい統制の下に抑えこもうとしています。平和というのは、何の縛りもなく自由に行動できることです。私たちもそれを求め戦っています」
アウンカくんから送られてきた一枚の写真に、私は強い衝撃をうけました。ミャンマー軍兵士たちの遺体の前でポーズをとっているのはアウンカくんです。

日下部キャスター
「国軍の兵士たちの遺体が何体か横たわっていました。聞いていいかな?アウンカくんが殺害したんですか?」
アウンカくん
「そうだと思います。2人くらいかな。ずっと撃たなければならなかったので何人に当たったのかわかりません。戦場だから自分が撃たなければ撃たれます。戦いが好きなわけではなく、人を殺したくて戦っているわけでもありません」
日下部キャスター
「そういったことを2年間やっているわけで、いろんな考え方とか精神性、変わったところはありますか?」
アウンカくん
「感情がなくなったような気がします。全てに対して冷めている気がします。以前は時間があれば音楽を聴いていました。でも今は、気づくとただぼーっとしていて、音楽も聴かなくなりました」
私たちの日常と、アウンカくんの直面する日常の落差に、しばらく言葉を見つけることができませんでした。
救われたのはアウンカくんの笑顔を見た時です。

アウンカくんの弟・ウェヤンくん
「ハッピーバースデー」
ネットを通じて兄の誕生日を祝う、アウンカさんの弟・ウェヤン君(21)。戦闘中に大けがをし、今は、ある場所で治療を受けています。